「落ち着け、啓。」


「お前に言われたくねぇっ!だいたい…っ、お前が謝ったら済むことだろ!」



涙目の啓に上目遣いで睨まれ、玲音は少し顔を赤くする。



「ぷぷーっ。顔赤いですよー(笑)」



ハルはそんな玲音をおちょくるかの様に、啓の後ろから玲音を笑う。



「…く…釘山…お前なぁ…」



流石に玲音も堪忍袋の緒が切れた様で、ハルに説教を食らわそうとした

が、



「あっ……あーっ!もう時間ないよっ!みんなっ!」



「うっわ、本間や!あんまり遅れたら会長様に怒られるで!」



「馬路か……つか僕達が遅れたら会長様だけじゃなくて、'式'自体が遅れるぞ!」


「やばいやん!うちらめっちゃ怒られるやん!ほ、ほら、ハルも早く!」



「え…あ、ちょ…待っ……」


ハルの周りに居た四人は玲音の様子を察知し、これ以上悪化しないようにとハルをずるずると引きずりながら連れて行ってしまった。



「あっ、こら!待て!…………ったく……」


玲音はそのまま放送室に啓と残された。


「………」


「………」


少しの沈黙。
そして先に口を開いたのは、




「……噂…流される…」



啓だった。


玲音はピタリと固まり、啓の方に振り向く。

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