ハルがこちらを向いたと少し警戒する玲音。 だが、ハルはそんな警戒が欲しかった訳では無いのか、やれやれと呆れている。 そんなハルを目にし、話は玲音から切り出す。 「何だ?何かすんのか」 「いえ?別に。何もしません。」 「は?」 ――何言ってんだこいつ… 見るからに何かを企んでいるハルだが、一体その企みは何なのか…検討がつかない。 少し不安になった玲音は、ハルの様子を伺う。 するとハルと目が合い、ハルは優しく微笑む。 そしてその口から出た言葉は、 「今ここで謝らなかったら、鈴木先生とレッちゃんがデキてるって噂、流します」 「なっ……!」 玲音より先に、啓が声を上げる。 「お前、馬鹿か!何で何も言ってない俺まで巻き添えに遭わなきゃいけねぇんだよ!」 「そりゃあ……連帯責任ですから」 しれっとした口調で返すハル。 啓は言葉を返そうと口を開けるが、言葉を放つ前に玲音に塞がれた。 「んん!?んんんんん!!!」 突然口を塞がれ一瞬混乱した啓だが、後ろの玲音の顔を見て、めいっぱい抵抗する。 玲音はそんな啓を落ち着かせようと自分のほうに向かせ、口から手を放した。 啓は半分涙目で、苦しかったのか、『はー…はー…』と息を整えている。 [*前] | [次#] [戻る] |