義足を合わせた後は二人で甘味処に立ち寄った。
フジは普通サイズの餡蜜、ガイ先生は大盛りの餡蜜を注文した。
よく二人で来るこの甘味処は可愛らしい老婆と息子夫婦が切り盛りしていて、ガイ先生を小さい頃から知っている。
「あらあら、ガイくん」
「どうも…ウメコさん」
ガイくん、と呼ばれたことに苦笑しながら、頭を下げる。
年老いて腰の曲がった老婆はにっこりと笑みを浮かべて、お茶を卓に置いた。
梅の花のついた髪飾りでお団子にしたを髪を止めたウメコは、木ノ葉でも有名な老婆だ。
「可愛い奥さんもらって、良かったわねぇ」
「でしょう?フジといいます」
「初めまして」
ぺこり、と頭を下げたフジはほこほこと湯気を立てる湯飲みを手にした。
ウメコこだわりのほうじ茶が香ばしい香りを漂わせていて、口の中に広がる優しい味に思わずため息が漏れた。
「フジちゃんはガイくんのどこが好きなの?」
「え…、えぇと」
不意打ちの質問にフジがしどろもどろしていると、ウメコは口元に手を当てて上品に笑った。
「初々しいわねぇ」
「まだ一年も経っていませんから…」
「まだ新婚さんなのね、ガイくんも隅に置けないわ」
息子が運んできた二つの餡蜜を見て、ウメコはそれじゃあごゆっくりね、と店の奥に向かっていった。
上等なみつ豆を使用した餡蜜は絶品で、フジも忍だった頃からよく話を聞いていたが、実際に来たのは初めてだった。
一口食べれば、優しいあんこの甘さに思わず頬が緩んだ。
「ん〜美味しい…!」
「だろう?」
「こんな美味しい餡蜜食べたことない…!」
次々と餡蜜を口に運び、ふにゃふにゃとした笑みを浮かべるフジにガイ先生も思わずにやけた。
すると、背後から女性が姿を見せた。
「やっぱりガイくんだ!」
「ミゾレか!久しぶりだな!」
「結婚したってカカシくんから聞いてびっくりしたのよ!しかも、こーんなに可愛い奥さんなんて!」
きゃあ、と黄色い声をあげたのはウメコの息子の嫁だった。
二人は同級生だったらしく、彼女の方が資格を返上してウメコの息子に嫁いだらしかった。
その仲睦まじい姿にフジはもやもやした気持ちを覚えながら、餡蜜を口に運んだ。
幼妻ちゃんとやきもち - 1
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