愛しているって毎日のように言われて、行ってきますとお帰りなさいのキスは毎日絶対する。そんな愛に溢れたような生活を夢見ていた訳ではないけれど、やっぱり誰もいない部屋に一人は寂しい。
結婚して四ヶ月と少し。フジの生活はガイ先生がいない時間がそのほとんどを占めている。ガイ先生は長期任務でいなかったり、愛弟子達の修行に付き合ったりと忙しい。
けれど、ほんの少しでいいから気にかけて欲しい。確かに、今までと変わらない生活でいいよ、とは言ったけれど。
愛情深い人ではあると思う。その愛情の向け方が違うだけで、フジは愛されているのかもしれない。寂しさは消えなくて、一人分の食事を準備して食べる日々が続いている。
構ってほしいとわがままを言うわけではないが、気にかけて欲しい。家族になったのだから。


「フジ、三回目よ」


久しぶりにお茶をしていたテンテンに言われて、何が?と顔をあげた。


「ため息。またガイ先生のこと?」

「…うん。やっぱり寂しいなって」

「フジ、健気すぎるのよ…たまには遊びにいったりしたら?」

「ガイさんが戻ってきたら、二人で出掛ける約束をしているのよ」


フジは落雁を一つ食べてから、微笑んだ。それは昨日の夜取り付けたもので、朝早く修行に出掛けたガイ先生に帰りを待っていると言ったばかりだ。


「フジ…」

「テンテンはそういう人、いないの?」

「え?」

「気になる人、好きな人とか」


人妻となってからは恋愛などの話から遠ざかっていた。話す女性はテンテンだけであるし、同じ班のリーやネジはその限りではない気がする。


「そうねぇ」

「例えば、ほら、サスケくんとか」

「ないない」

「え、と」


あとは、と考えているとテンテンがくすくすと笑いだした。顔を上げれば楽しそうにテンテンが言う。


「フジは、本当にガイ先生のこと大好きなのね」

「もちろんよ」

「約束をしているのよ、って言うフジ、目がきらきらしてたわ」


テンテンに指摘されてフジは頬を赤くする。だって、どうしたって好きなのだ。修行のためにほったらかしにされても、あの笑顔に結局は絆されてしまう。


「ガイさんはわたしの人生を変えてくれた人だもの」

「……そうね、本当に貴女は変わったわ」


そうやって笑うテンテンは本当に嬉しそうだった。


幼妻ちゃんと恋心


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