第十四話
奥にあった青色の扉が自動で開いた。 監視されてるってなんだかヤな気分……。
道はそこしかないから、行くしかない。
「進化や資格って……一体何をしようとしているのかしら?」
「進化を遂げさせる"賢者の石"……真に優れた遺伝子を選別……偉そうなことを言っているが、やっている事はテロリスト以下だ」
「うん……人が人を選ぶなんて絶対に出来ないんだ」
クリスに賛同し菜月は頷いた。 巨大なファンが2つ回る部屋を通り抜けていく。
「どんな形にせよ、ウロボロスによる汚染が広がれば大変な事になる」
「そうね、急いで止めなくちゃ」
このままあいつらに好き勝手させてたら、全人類が危険な目にあってしまう。 そんなこと、絶対にあっちゃいけない! 怖いけれど……止めてみせる、俺、頑張る!!
階段を上り次の部屋に向かう。
細い金網で出来た通路に出た瞬間に銃弾が掠める。 前を見ると向かい側の通路からマジニが銃を撃ってきていた。
避けるために、あらかじめ設置されていた鉄製の壁に隠れる。 敵の銃撃が止んだ瞬間を見計らって、クリスがライフルで狙い撃つ。
タァンタァン――
クリスが出した銃声を最後に敵の気配はなくなった。 鉄壁の影からでて、軋む金網の上を歩いていく。
壁伝いに取り付けられた通路に楕円形の卵が白濁の液体を垂らしている。 ……なんだか既視感がするんだけど……それに嫌な予感ビシバシと……(滝汗)
きぃきぃと音を立てる金網が不安を掻き立てる。 慎重に卵の下をとお―――
ビチャッ――
「……っでっすよねぇえええ!!!」
目の前に降ってきたリーパーに菜月は踵を返した。 リーパーは菜月を追ってかさかさとG(黒いアレ)の如く足を動かす。
走りながらホルダーから銃を取り出して自分の肩越しに発砲する。 リーパーの足や手に当たるが大したダメージにならない。 クリスとシェバが援護してくれているが、俺を避けながら撃っているため弱点に当てる事ができない。
「ナツキもう少し右に寄ってくれ!」
「むりムリ無理m―――」
顔色を蒼くさせ、菜月は首が取れそうなほど横に振る。
ダァン――
「あら、ごめんなさい。手が滑ったわ」
「ひぎぁあああっ!!!シェバァアアアア!!???明らかに今わざとしたよねぇええ!!??」
何あぁ、やっちゃった☆みたいな顔してるのぉおおお!!! もう少しで俺の心臓貫きそうだったんだけど、俺避けなきゃ間違いなくご臨終してたんだけどぉおおおお!!
説明しよう。 横に避けるのをムリと叫んだ俺に、シェバが笑顔でマシンガンを発砲。 俺はここ1日で養った反射神経をフル起動させて右手の壁にぺったりと張り付いたのだ。 壁とキスして気持ち悪いとかそんなの関係ない俺の生命がピンチだ。
弾丸は背中を掠めてリーパーの白いワタを貫いた。 リーパーは足を止め、苦しそうに悶える。
そこをすかさずシェバがマシンガンを連射させて、ダメージを与えていく。
……う、ううぅううごけないっ!!
マシンガンの銃弾が背中を掠めるため、壁に張り付いた体勢のままピクリとも動けない。 少しでも動けば、弾が菜月の背中を抉りそうだ。
一頻りラピッドファイアが続き、漸くそれがとまる。
もう大丈夫だろうと壁から緩慢な動きで離れた。
「うを、」
ちょうどすぐそばにリーパーの死骸があって俺は少しばかり肩を揺らして退いた。 どこから集まったのやら、ハエがブンブンと五月蝿く飛び回っている。
俺はリーパーの死骸をなるべく見ないようにしながら、それを跨いだ。
とりあえず強敵は倒し、細い通路を進んでみると電気の通っていないスイッチを見つけた。 電気が通っていないため幾らレバーを動かしても、起動はしない。
「何処かに電源スイッチがあるはずだ」
「あそこの扉じゃない?行ってないしさ」
先ほど気にはなったがそのまま通り過ぎていった扉を指差す。 ここでいつまでも立ち往生しているわけにはいかないので、そちらに向かった。
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