ベルトコンベアーから降りて、歩いていった先には再びベルトコンベアー。 しかし、此方のベルトコンベアーは電気が入っていないようで、スイッチのレバーを引いても動かない。 運の悪い事に大きなコンテナがあるため、動かさない事には先に進めない。
仕方なく俺たちは左手にある階段を進んだ。
手すりのついた細い通路を歩いていく。 下のほうにベルトコンベアーが見えている。
途中で奇妙な楕円形の茶色い何かよくわからないものが壁のいたるところにつき、 白い粘々の液体がその何かにまとわりついて地面に垂れている。 クリスもシェバもそれを怪しむ瞳で見ながら、横を通り抜けたが何も起こらなかったのでそのまま気にせずに奥に向かう。
角を曲がり奥のほうに見えた空間にある何かにクリスは声を上げた。
「ミサイル!?一体、何に使うつもりだ……」
「戦争でもするつもりかしら……」
目の前に広がるのは大きなメタルカラーのミサイル。 俺はポカーンとして、そのミサイルを眺めていた。
そのうちに、シェバとクリスはベルトコンベアーのブレーカーを入れる。 ガコンという音ともにベルトコンベアーの電源がついた。 先ほどの道を戻っていく。
「……?」
なんか、さっきと違うような……? 気のせいかなぁ、と首をかしげながら一番前を歩く。 曲がり角に差し掛かった瞬間、キィと上で何かが音を立てた。
なんだろうと思って菜月は顔を上げる。
「――っぴぎゃぁあああああああ!!!!!」
ドスン――目の前に降り立ってきた昆虫――まるでカマドウマのようなコオロギのような――が腕を開けて此方ににじりよってくる。 あまりにも突然の事で菜月は腰を抜かして立ち上がれない。
ちょちょぉおおお!!!!こっちにくんなぁぁああああ!!!!
立ち上がることは諦めて座ったまま後退していく。 当然だが立っているほうが早い。昆虫――リーパーはどんどん距離をつめていく。
ダァン――
銃弾が菜月の頭のてっぺんを掠め僅かに髪の毛を犠牲にしながら、リーパーの顔を吹き飛ばした。 この撃ち方は見なくても分かる――間違いなくシェバだ。 顔が吹き飛ばされてリーパーが方向感覚を失い通路においてあった箱に体を擦り付けているうちに、菜月は慌ててそこから離れる。
「た、たすかったぁ……」
はぁああ、と大きな息を吐き出した。 しかし、まだ敵は生きているから安心は出来ない。
無理に横をすり抜けようならば、あの長い腕捕らえられてしまいそうだ。 菜月は銃を取り出しリーパーに向かって撃つ。
今までのB.O.W.を思い出すと色の違う部分が弱点だったはずだ。 たとえば赤色の部分だとか……ということはこいつも――
ちらっと視線を向けるとちょうど顔面が復活しているところだった。 その気持ち悪さに見なければ良かったと後悔した。
「気持ち悪いわね!」
マシンガンを連射しながらシェバが嫌悪の表情でリーパーを睨む。 仮にもシェバも女性だし、虫が嫌いなのかなぁ……? そんなことを思いながら、シェバの後姿を眺める。
と、いきなりシェバが振り返る。たらりと冷や汗が流れる。
「あらナツキ、あれを倒してくれるの?ありがとう、じゃあよろしく」
「つぁあああ!!!ごめんなさい、すいません、許してください、一人じゃ倒せませぇええん!!!」
とっても黒い笑顔で、そして怖いほどの棒読みで言われ菜月は涙をちょちょぎらしながら全力で謝罪する。 それはもう、土下座するぐらいの勢いで。
「……仕方ないわね」
全力で謝る菜月に折れてくれたようでため息をつきながらもシェバが言った。 今度から変な事口走らないようにしよう……ってか思わないようにしよう。 いつか、シェバに殺されてしまいそうだ。
「援護してくれ!」
「ご、ごめん!!」
たった一人でリーパーに立ち向かっていたクリスがhelpを求めてきた。 菜月は急いで銃を構えてクリスの横に立つ。
――色の違う部分、だったよな……アレか!!
四つん這いになっているリーパーの背に二つ白いワタのようなものが見えている。 俺はそれにすばやく狙いをつけると引き金を引く。 銃口から飛び出した弾は空気を切り、一直線にそこに向かった。
そして、白いワタを貫きダメージを与える。 リーパーは膝をつきさらに白いワタを出現させる。 そこを畳み掛けるようにシェバがマシンガンでダメージを連続で与えていく。 流石に弱点を狙い撃たれると耐えられないのかリーパーは後ろに倒れると動かなくなった。 死んだリーパーに虫が数匹ブンブンと飛び回っていて気持ち悪かった。
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