- ナノ -


「よし、通った。もう離していいぞ!」

柵を通り抜けて此方にやってきたクリスを見て漸く二人はレバーから手を離した。
遠くでガシャン、と柵が降りた音がした。

クリスと合流した途端、周りが騒がしくなった。

かつっと地面に落ちてきた細長い筒。
それが何か確認する前に、菜月の体は強制的にしゃがまされた。

その瞬間体を撫ぜる爆風と大きな音。

「くそ、ダイナマイトか!!」

「はぁっ!!?ダイナマイト!!?」

テレビでしか見た事が無いモノに菜月は叫んだ。
急いでガンホルダーからハンドガンを取り出し、構える。

ダイナマイトは上から降ってきている。
菜月はハンドガンを上に向けた。

「あいつか!」

ちょうどそこに、ダイナマイトに火をつけようとしているマジニが視界に入った。
迷い無く菜月はハンドガンを撃った。

見事に命中し、マジニは転落して地面に叩きつけられ動かなくなった。

「うっし!」

「本当にすごい命中率ね。本当に初心者なの?」

小さくガッツポーズをして悦に浸っていたら、シェバが聞いてきた。

「うん。俺もともと動体視力いいし、それもあるかもね」

「天賦の才、って奴かしらね」

次から次へとわいて出るマジニを次々に撃ち抜く。

「あはは、天才なんかじゃないよ」

「謙遜しなくてもいいのよ。本当の事だから」

「日本人は褒められると謙遜しちゃうんです」

シェバと話し終わる頃には、辺りにマジニは一体もいなかった。
話し込んでいるうちにすっかり倒し終わったらしい。

少なくなった弾を補充するために菜月はたどたどしい手つきでハンドガンの弾を入れた。
その時間約3分。

「遅いぞ」

「あは、ははは……どうにもうまく出来なくて……」

後頭部を掻きながら菜月は苦笑した。
撃つのはトリガー引くだけだから簡単なんだけど、弾を入れるのは、ね。

ごめんごめん、とおざなりに謝り、また先へと進む。




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