- ナノ -

第三話



列車と列車の間に張られた爆弾を撃ち抜き爆発させ、襲い掛かってくる犬を撃ちぬく。

一回だけ飛び掛ってきた犬に、噛まれそうになったが死ぬ気で体をよじって避けた。
まぁ、そのせいで地面とキスする羽目になってクリスに笑われたけど……。

自動で動くトロッコに乗って、行く先はまたもや地下。
しかも、明かりも無く先は真っ暗だ。

「ひぃっ!!」

頭上を飛び交う蝙蝠に驚いて菜月は肩をビクつかせた。

「投光機があるわね。これで照らしていきましょう」

「あ、じゃあ俺が持つよ」

ハンドガンをガンホルダーになおすと菜月は投光機を持ち上げた。
菜月が先を見えやすいように、照らしながら3人は先へ進んだ。

「とぅわっ!!」

トロッコの線路に躓きかけ、あやうく投光機を落としそうになる。
クリスに間一髪のところで支えられて倒れずにすんだ。

「足元に注意しろ、ナツキ」

「あいあいさー」

再び三人は歩き始めた。


「うへぇ……気持ち悪いぃ……」

「こら、ちゃんと照らせ。」

靴とズボンをぬらす、泥水に菜月は顔をしかめた。
手元が揺れたらしく、クリスに怒られる。

はいはい、と返事をして投光機を持ち直した。

パ、とライトが照らし出した―――マジニを。

「うわぁああっ!!」

「クソッ!闇に潜んでやがったのか!!」

クリスが持ち前の反射神経で、ショットガンを撃った。
弾をもろに食らったマジニが宙を舞う。

投光機を持つ手に汗が滲んだ。

「はぁ……」

動かなくなったマジニを確認し、菜月はため息をついた。
そしてまた、二人の後をついていく。


ズボンの裾が幾らか乾いた頃。
とげとげの柵が道をふさいでいる。

手前のレバーを回すことで開けることが出来るようだ。

「俺がまわす。ナツキとシェバは先に行け」

重たそうなレバーをクリスがゆっくりと回転させる。
それと同時に柵が地響きを立てながら、ゆっくりと開いた。

菜月は投光機を地面に下ろすと、シェバと一緒に柵の向こうに行った。
クリスがレバーから手を離すと、勢いよく柵が下に落ちてザクッと地面に突き刺さった。

「…………」

それを見た菜月は無言のまま、顔を蒼くさせた。

「ナツキ?いくわよ。きっと奥にもこの柵を開けるレバーがあるはずだわ」

「……あ、はい」

シェバに呼ばれて、菜月は我にかえる。
後をついて行くと広い場所に出た。ライトで照らされており、本当にここが地下なのかと疑うほど明るい。

どうやら縦長のつくりになっているみたいで、天井は遥か上にある。
ポカンとして見上げていると、またシェバに呼ばれる。

「ナツキ、ぼーっとしない!」

いつ敵が来るか分からないんだから!と怒られた。
菜月は広場の中央にあるレバーを見た。

「これ、なのかな?」

「回してみましょう」

「んじゃ、俺がまわすよ」

レバーに手を掛けると菜月は腕に力を込めた。
想像以上に硬いレバー。

まわすのに苦労している菜月を見かねたシェバが一緒にレバーをまわした。
やはり鍛え方が違うのか、シェバの力が加わるといとも簡単にレバーは回った。




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