カチリ、とガスマスクの留め具を付ける。少し窮屈だが、問題はない。ファンがしっかりと回っているのを確認してから、俺は立ち上がった。
青と白の傘のマークのワッペンが左腕についた軍服を身に纏っている。
一見アンブレラの社章に見えるが、違う。
かつて、ウイルスを造り、世界中にばら蒔いた製薬会社ではない──民間軍事会社アンブレラ。
「準備は出来たか?」
武装した男がこちらを振り返る。
「はい。隊長」
「よし、なら行こう」
その背を追いかけて、ヘリに乗り込む。椅子に座り、ヘリのエンジン音を聞きながら俺は目を閉じた。
ラーキング・フィア作戦。
それが今回の作戦名だ。
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