- ナノ -
ダンテとネロはどうやら別の場所に落ちてしまったらしい。そう遠くはない場所で激しい戦闘音とネロの雄叫びらしき物が聞こえる。トラップが多く如何せん思うように進めず、合流するよりかは個々で行く方が効率的そうだ。

Vと協力しながら先を進んでいた矢先の事だった。

「V……?」

はて──先程まで側にいたはずなのだが、一体どこに消えたのか。振り返った先にいないVを探して視線をさ迷わせる。グリフォンもシャドウも、ナイトメアも気配の欠片すらない。

首を傾げ、今度は大声でVを呼んだ。しかし、その声に返答はない。

「これは……悪魔の仕業ね」

その瞬間に大量の悪魔が姿を現した。質より量の相変わらず芸がない襲撃にエリカは嘆息する。まあ人間にはこれくらいが丁度良い。

「さっさと倒してVと合流させて貰うわよ!」

刀を構えて、力強く地面を蹴った。


時間は掛かったが何とか最後の一匹を切り捨てて、エリカは額に滲んだ汗を拭う。次から次へと湧いて出る悪魔にはほとほと参った。それほどクリフォトは魔界に近い、ということなのだろう。

「……Vを探さなきゃ……」

無事だと信じたいが、かなり調子が悪そうだった。それにグリフォンが言っていた意味ありげな言葉もエリカの不安を煽る。

刀に付いた血を払い、鞘に納めて空間へと消した。どこにいるかも検討付かないがここでじっとしていても意味がない。もしかしたらを考えるならば行動するべきだ。

……手遅れになる前に。

最悪の想像が脳裏を過り、エリカは苦虫を噛み潰した。そして緩く頭を振ってその妄想を振り払う。

「アトラ、アルバ、Vの匂いは追える?」

悪魔の死体を貪り、空腹を満たす2匹に声をかける。満足そうに舌舐りをする彼らに苦笑を溢しつつ、「ほら」と促した。

すんすんと鼻先を地面に寄せて、匂いを辿るように動き出す。戦闘も何でもできる彼らは本当に有能だ。どれ程助けられたかわからない。
レッドグレイブから帰ったら悪魔の肉じゃなくて良い肉を沢山食べさせてあげよう。そんな事を考えながら、少し急ぎ足で2匹の後を着いていった。

かれこれ10分程は歩いただろうか。時々悪魔の襲撃はあったが難なく撃退した。先を進んでいたアトラが吠えた。その視線の先にうつ伏せに倒れるVの姿を見つけてエリカはすぐさま駆け寄る。

まず首筋に指を添えて、脈の確認をしてしまったのは職業病とも言える。緩やかだが確かに指先に感じた脈拍にホッとした。

「V……V、しっかりして」

念のため呼吸をしているかもチェックしてから、肩を揺する。何度か声を掛け、揺すっているとVが呻いた。

目が、覚めたようだ。

君を探して

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