龍が如く1
25:鮮血
錦山×夢主
無理矢理、流血表現注意
錦山の暴力は日毎にエスカレートしていった。最近は謝ることもなくなって、一方的な暴力を振るうだけ振るって出ていくことが多い。ダメージが少しでも軽くなるように受け身を取っていたのもやらなくなった。最初は痛いと思っていた暴力もあまり痛みを感じなくなっていた。度重なる暴力で感覚が麻痺しているのかもしれない。勿論セックスもされた。何度も繋がり、イく度に理性が少しずつ崩れていく感覚がして怖い。
その日はいつもと違った。荒々しく扉を開けた錦山の手には鈍色に光るナイフが握られていた。ぞわりと背中が粟立つ。
「あ、あきら……?」
恐怖に声が上擦る。錦山は大股でアスカのいるベッドの傍まで来ると、勢いよくナイフを振り下ろした。
「っぁ!?ぁああああ!!!」
手の甲にぐさりと突き刺さるナイフの痛みに意識が一瞬飛んだ。浅い呼吸を繰り返しながら、ナイフを握る錦山の顔を見上げる。怒りと狂気の入り雑じった表情を浮かべている錦山が恐ろしい。
「……あきら、」
何故こうなってしまったのか。アスカはどうすれば錦山を止められたのか。何度考えても分からない。
桐生がいなくなった事よりも、由美がいなくなった事の方が錦山はショックだったようだ。それもそうだろう。錦山は由美が好きだった。だから今も必死で由美の行方を捜しているが、見つからない。ストレスも溜まるだろう。
荒い呼吸を繰り返して、アスカは錦山から離れようとしたが、弱った身体ではナイフを引き抜けず僅かに身動ぎしただけだった。
「お前も……!!俺から逃げるのかっ!!?」
腹部に思い切り蹴りを入れられて、えずく。血の混じった胃液が口の端から溢れ落ちる。
「……逃げんなよ!!お前まで……俺を、置いていくのか……!?」
「……ぉ、置いて、なんか……いかねぇ、よ……」
苦虫を噛み潰した表情で錦山が吐き捨てた。必死で否定するもその声は錦山には届かない。
どこまでも付いて回ってくる桐生との比較。錦山のコンプレックスはもう言葉だけでは癒せないほどに膨らんでしまっていた。そして、その怒りの矛先はアスカに向かい、錦山自身も暴走を止められなくなってしまっている。
「あきら……ぅあああ!!」
手の甲に突き刺さっていたナイフを乱暴に引き抜かれて、アスカは悲鳴を上げた。血飛沫が辺りに飛び散り、錦山の白いスーツに赤い斑点をつける。
刺された手の甲を無事な方の手で押さえる。身体を震わせながら、縮こまらせた。
「いたい……痛いよ、彰ぁ……」
唇が戦慄く。はらはらと涙が溢れ落ち、血と混じり合う。泣いているアスカの衣服を錦山は乱暴に剥いだ。痛みのせいでろくな抵抗も出来ない。
「やめ、」
「抵抗するな!」
慣らしもしていないそこへ陰茎が突き立てられる。
「あああああ!!!!?」
激痛に悲鳴が出たが、錦山はお構いなしにピストンを繰り返す。乱暴に腰を動かされて痛みしか感じられない。手の甲から流れ出る血があちこちに飛び散り、アスカと錦山を赤く染めた。
「やめてくれ……痛い……痛ぇよ……!」
パン、パン、と腰を打ち付けられる。感じることもない乱暴なセックス。手で身体を押し退けようとするも弾かれ、より激しく突かれた。抵抗もできず、されるがまま汚されていく。膨張した陰茎がアスカの中で欲望を吐き出した。
「ぁ……ぁ……」
イったのにまだピストンは止まらない。奥に突き立てられて、吐き出された液体がかき混ぜられる。
手の傷の出血のせいで意識が徐々に朦朧としてきた。それでも錦山はぐったりとしたアスカの腰だけを上げて自らの欲望だけを満たす。
「アスカ、アスカッ!!」
目の前にいるのにまるで遠くにいるかのように何度も名前を呼びながら、錦山は行為を続ける。アスカの腰を持ち、深く身体を押し当ててどびゅっと二度めの射精をされた。白濁した液体が泡立ちながら、アナルから溢れ落ちる。
けれどまだ、止まらない。
じゅぼじゅぼと激しい水音が部屋に響く。血と精液の臭いが混ざりあって酷い臭いが充満している。
冷たかった筈の床の温度も分からなくなって、視界もぼやけてきてはっきりしなくなってきた。それに寒気がひどい。身体も痙攣している。
「ぁ、きら……」
血にまみれた手で白い影に手を伸ばした。
(これ以上続けられたら俺はーー……)
その声に錦山ははっと我に返ったように目を見開いた。ずぷりと陰茎が抜き出されて、アスカは安堵と共に意識を失った。
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