◆(元拍手文 〜20110522)





(付き合いはじめ位設定)









「――それでよぉ、その時ニノが…」

「…何だよ?」

「だーから、ニノが荒川の主をつかまえに行くって時に…」



そうじゃない。話の内容についてじゃなくて。





最近、視線を感じる。二人で話をしている時は特に。いや、勿論話す相手を見るのはコミュニケーションとしてごく当たり前の事だ。でも他の誰かと話している時とは違う視線が、コイツには時々含まれている。正確には、視線が不自然にそれるんだ。

始めは「あれっ」と思う程度だった。でも向こうはごく普通に会話を続けるし、まさか完璧な俺の顔にご飯つぶなど付いているはずはない。自分の勘違いか何かだろうと思っていたのだが、一度気付くとそう感じる回数は増えていくばかりだった。気になって仕方ない。お陰で話の中身に集中出来なじゃないか。まぁコイツの話には中身なんて元々無いようなものだから、問題ないけど。



「――でな、超絶キュートだったわけよ!」

「へー」

「なっ!お前今ちゃんと聞いてなかっただろ!?ったく酷い奴だよお前はよ…」



ほらまた。今ちょっとだけ視線が目から外れた。少し下?という程度だけど。

…あれ?そういえばさっきも同じ方にズレたか?



「――って聞けよこの万年就活野郎!」

「……」



まただ。やっぱり視線は同じ方に動いてる。



「なぁ…何なのお前…俺に喧嘩売りたい訳?」

「いや…別に…」



ほらまた…見てるのは俺の鼻?いや、もう少し…



「!!」

「何だよいきなり驚いた顔して。こっちがびっくりするって…」

「帰る!!」

「ハァ!?」










全速力で橋脚の梯子を上る。顔が熱い。ピンポイントに自分の意識が集中していくのが分かる。考えていたら、熱いだけじゃなく、なんだかむず痒くなってきた。あぁクソっ!


部屋に戻り、思いの外大きな音を立ててドアを閉めてしまった。PCを立ち上げてネットを開く。

検索欄に叩き込んだ言葉は、最高級の…







『リップクリーム』











書いててこっぱずかしいような星リクも、好きなんですww






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