◇*
イライラ、モヤモヤ、
がぶっ
「いっ!!…何すんだよ」
さっき、星と喧嘩した。理由なんて忘れてしまうくらいだから、きっと些細でくだらない、いつものこと。きっと俺が他人ならこう言うだろう。痴話喧嘩なら余所でやれって。
実際何か言いたいことがあった訳ではないし、言えるならとっくにそうしている。さっき捨て台詞で、「お前なんかともう口をきかない」とか言ってしまったから。お前が「だったらこんなことしちゃうけど、堪えられるかなー?」とか言うから。だからこうするしかないんだ。感情を向ける矛先が今は目の前のムカつくヒトデ魔人の肩しかないから。
「覚えてろよ〜?」
そう半ば独り言のように言って、星は再び俺の下半身に夢中になった。
「ふっ…あアっ」
「くっ…おい…力抜けって…」
なんだよ、そんな、
「あっ…やァッ…」
「はっ、はぁっ…あったけ…」
楽しそうな顔、しやがって…
「おいリク、…お前いつまで拗ねてんだよ」
一服済ませた奴が、けだるそうな声で話し掛けてきた。沈黙でそれを返すと、不満そうにシーツの中に戻って来て身体を寄せてくる。
「ホラ見ろよココ、赤くなっちまった」
くっきりと、見れば誰にでもすぐに分かる、歯型。流石俺はパーフェクトだ。歯並びまでも美しい。
「………」
「どう責任取ってくれる訳?」
いつも人には散々キスマーク付けといて何が責任だ、このエロ天体…!あぁ思い出すんじゃなかった。考えただけで下品過ぎて、顔が熱くなる。それがばれないようにと寝返りを打ったら、背中から抱え込まれた。
「リクたーん、お喋り出来なくなっちゃったのかな〜?」
「…っ!」
馬鹿にしてんのか。思わず身体の向きを変えてしまったから、とりあえずマスク無しのすっぴん顔を睨みつける。
「…なぁ、どうしたんだよ」
もういいだろ?って、普段よりワントーン低い声。俺が弱いって知ってるくせに、卑怯者。なんだってこんな自分勝手で、人の気持ちもほったらかしの、ムカつく天体マスク男なんか…
「愛してるぜ、リク」
いつもはあまり選ばない、直接的な言葉。こいつがどうしようもなくなったときに使う、良くも悪くも最終兵器だ。
…つまりはもう面倒になったんだろ。ほっといてくれよ。俺だってもう、ちょっと泣きたくなる位、元に戻すタイミングが分からないんだ。
「なぁ…お前は?」
そんなこと、今も普段も言えない。分かってて聞いてくるところは、本当に意地が悪いとしか言いようがない。
「…愛してるに決まってるよな?」
俺は何も言ってない。なのになんでそんなに自信満々なんだ?頭おかしいんじゃないのか?星はニヤニヤと笑うと、俺の頭に鼻っ面をこすりつけて、ぎゅうぎゅうに抱きしめてきた。ああもう、本当に、
がぶっ
…ああ、こいつ、甘い。
*12/11日記をちょい加筆修正。とりあえずリクがアホみたいな理由でもだもだしてたらいい^q^