人の命って、どうしてこんなにも儚いんだろうか。 ――それは、まだ空が明るくなるもう少し前だった。 俺の携帯が、けたたましく音をたてて突然彼女の香奈の死が告げられた。 もともと病気で入院していて、いつその時が来ても多分おかしくなかったんだ。 …昨日まで普通に話してたのに、 病室のベッドには、もう言葉を発する事のない香奈がいた。 鼻をすする音も涙が落ちる音も全て嘘にしたくて、 ひたすら耳を手のひらで覆ってた。 香奈が静かに眠っている枕元には俺宛の封筒が置いていて。 「………っ、」 読み出すと涙が溢れて止まらなくなった。 だって、書かれてたのは全て俺の事ばかり。 "昴の幸せが、香奈の一番の幸せ" なんて、 そんな優しい事言えるやつ他にいないよ。 「……っ、ばか、香奈」 何度も"居なくならないで"って願った。 何度も"絶対に幸せにする"って誓った。 なのに俺は、香奈も約束も守れなかったんだ。 哀しいよ、 お前が居ない事が。 もう戻らない時が。 愛しい(かなしい)よ、 お前の優しさが。 もう見れない笑顔が。 もしもう一度会えるなら 俺は、もう何もいらないから。 だから―――――…。 |