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一人先に家を出たオレは、学校に着くなりふう、と安堵の息を吐く。危なかった。あと少し早く居間に来ていたら確実にバレていたな。そう、心の中で独りごちながら靴を脱ぎ、下駄箱を開けようとして動きを止めた。


「はぁ…」


どうやらその必要はなかったらしい。オレの下駄箱はカラフルな紙包みや袋で溢れていて、扉が半分ほど開いた状態になっていた。つーか、食べ物を下駄箱に入れるな。食う側のことを考えてやっているなら相当質が悪い。まあどのみちオレは食べないが。


「相変わらずモテモテだなーサスケ」

「…嬉しくねえ」


詰め込まれた、おそらくチョコと思しき箱や袋に今度はため息を零せば、隣から不意に声がかかる。毎年よくやるってばよ、と、内履きを押し込むように入れられた箱を取りながら言う奴は、しかしどこと無く楽しそうである。


「お前はもらったのか」

「んあ、オレ?」


自分ばかり弄られるのは癪だったので、漸く顔を出した内履きに履き変えつつ、聞いてみる。すると、待ってましたと言わんばかりに手持ちの紙袋を見せてきた。


「へへっ、今年は去年より期待出来そうだってばよ!あとはー、サクラちゃんからもらえれば…って、サスケ何やってんの?」

「これもやる」

「は?」


得意げに話すナルトを横目に、オレはその紙袋へ下駄箱にあったチョコをポイポイと投げ入れていると、気付いたナルトが怪訝な顔で此方を見た。


「オレは甘いものは嫌いだ」

「いや、そんなん知ってるけどさ」

「だから、お前にやる」

「どうしてサスケ宛てのチョコをオレが食わなきゃなんねーんだってばよ!」

「別に全部食えとは言ってない。食べ切れなきゃ他の奴にやるなり、処分するなりすればいい」

「……お前ってば、本当容赦ねーのな…」


諦めたのか、ナルトはオレ宛てのチョコも入った紙袋を持ち、これ以上は無理だかんな!と言いながら教室の方へと走っていった。




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