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街中が俄かに色めき立つこの季節は、ある意味、戦争と呼べるのかもしれない。


まだ薄暗い室内をぼんやりと瞳に映し、数回瞬きをする。枕元の時計を見遣れば、6時を回った頃だった。ひんやりとした空気に一瞬、布団から出るのを躊躇うが、いつまでもそうしている訳にもいかない。うんと一つ伸びをして起き上がる。そのまま窓辺まで行き、カーテンを引くと、見慣れた景色は朝が訪れるのを静かに待っている。


「…」


さて、普段ならここで隣の部屋のサスケを起こしに行くのだが。といっても、彼も大概早起きなので、実行したのは指で数える程度である。今日はどうだろうと隣の気配を探るが、物音がしないところを見ると、やはりもう起きたようだ。それなら、と部屋の前を素通りし、真っすぐ階下へと降りていく。居間へ向かうと、そこには案の定、既にサスケの姿があった。


「おはよう、サスケ」

「!、ああ、おはよう」


日常的に挨拶を交わすも、何故かサスケの声は、どこかいつものそれと違うように思えた。はっきり何とはわからなくても、こうした微妙な変化を感じ取れるのは、兄弟であるが故なのだろう。


「どうかしたのか」

「…別に、何も」

「…そうか」


此方を見ずに答えるサスケの表情は窺えないが、何かを隠しているのは明らかだ。聞き出したい気持ちはあれど、人間、言いたくないことの一つや二つ持っているのが常である。なので、オレは敢えてそれ以上の追及はしなかった。


「早く」

「ん?」

「…飯、早く食わねえと遅れるぜ」

「お前はもう食べたのか?」

「とっくに」


じゃ、と足早に居間を出て行く弟の背を見送り、はたと我に返る。そういえば、今日は日直ではなかったか。テーブルに置かれた温かな朝食と時計を見比べ、仕方なく部屋を後にした。




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