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 辿り着く先は(詩)



荒れ果てた空から
零れ落ちた 一滴の雫
僕はそれを掌で
受けとめようとするけれど
雫はいとも簡単に
冷たい指の隙間から
流れていってしまうんだ

例えば 道の傍らに咲く
小さな花
凍るような
寒い風に吹かれても
溶けそうな
暑い陽射しの中でも
変わらずに同じ場所で
咲き続けて

その健気な姿に
いつも君を重ねてしまうのは
弱い僕の悪い癖

あの頃は楽しかったねって
寂しげに微笑う君が
瞳を閉じる度に浮かんできて
忘れようにも 心の中の僕が
忘れないでと願うから

時は過ぎ行く
儚い思い出を残したまま


例えば 華やかに舞う揚羽蝶
子どもの頃は嫌がられるのに
大人になったら綺麗だと言う
この世界の掟は常に
残酷すぎて

その哀しい姿に
いつも自分を重ねては
ため息をついてる 無力な僕

切なさを紛らわすように
そっと君の手を握れば
心地良いぬくもりが伝わって
忘れかけてた
暖かさを優しさを
僕に思い出させてくれた

時は巡って 漸く少しだけ
光が射した


呆れる程に笑い合った事も
泣きたいくらいにつらい事も
ふとした瞬間 見せた仕草も
忘れるなんて 出来なかった

もしも罪になるのなら
この命尽きるまで
君を愛すると誓うだろう

桜の季節 二人出逢った
あの場所で……






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昔の創作ノートに書いた詩が発掘されたので。相変わらず甘さと明るさが無いという…orz
(原文若干修正)



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