きらきらしていて、甘ーい少女漫画のような恋に憧れていた。でも実際そんなのは、ただの妄想でしかなくて、現実には有り得ないんだろうなって思っていた。
「ふー楽しかった!銀ちゃん、次あれ乗ろうよ!」
「…はいはい、つーかなんでそんな元気なの?」
ただ今、私は大好きな銀ちゃんと大江戸遊園地に遊びに来ている。所謂、デートというやつです。今日は朝からフリーパスを使って、アトラクションを次々と乗り回っていた。
「んーそう?いつもと同じだよ」
「いいやー違う。やたら笑顔だしハイテンションだし…何か嬉しいことでもあったわけ?」
言いながら銀ちゃんが私の顔を覗き込むもんだから、少しどきっとした。わわ、近いよ顔近い…!
「何でもないよー。ほ、ほら早く行こ!」
「うおっ!ちょ、」
平静を装って、尚も怪訝な表情を浮かべる銀ちゃんの手を引き、次のアトラクションへと走る。後ろで、乗り物は逃げねーよ、と銀ちゃんが言っていたけど、私は走る速度を緩める事はなかった。
「着いたー…はぁ」
暫く走って、アトラクションの入口に到着。うん、ちょっと疲れたかも。軽く肩で息をする私に対し、銀ちゃんは至って普通だった。こういう時、やっぱり男女の差を感じてしまう。
「大丈夫ー?」
「うん、全然余裕」
「…」
「あーでも結構並んでるね。間に合うかな…」
着いたはいいものの、そこには既に長い列が出来ていた。ちらりと腕時計に目を遣ると、午後3時を過ぎている。7時までにあと4つ乗らなきゃなのに。
「間に合う、って何が「ああああ銀ちゃん、私喉渇いたなー!」
「……結衣」
「ん、なぁに?」
「…まあいいや」
いくらか間を開けたくせに、それ以上何も言わず銀ちゃんは、並んで待ってろーと言い置いて、飲み物を買いに自販機へ向かった。
「うう、ばれたかなあ…?」
折角の計画をここまできておじゃんにはしたくない。大丈夫大丈夫、と自分に言い聞かせ、パンフレットを取り出し、アトラクション地図に書き込んだ印を確認する。…コーヒーカップならすぐに乗れそうだ。
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