episode.5


静かな室内にブーッという変動の無い機械音が響き渡る。
悦は自分の前で胡坐を掻いて頬杖を付く俺をちらりと盗み見ると、恐る恐る振動するローターを陰部へと押し当てた。

「っ…」

下着の上から伝わる思いのほか大きな振動に、悦は開いた脚をぴくりと震わせた。
経験のない感覚に不安気に眉を顰め、声が漏れないようにと唇を噛み締めている。

「悦、それで気持ちいいとこ当たってんのか?いつもお前が指でいじってる所に当てなきゃ意味ないだろ」

「だからっ…、そんなことしてない…っ」

「どっちでもいいから、ちゃんとやれよ。一人でイケるまでやめさせねーぞ」

「っ…はるちゃんの、意地悪っ…」

「よく分かってんじゃん」

そう言って笑う俺を悔しそうに睨むと、悦はふっくらとした茂みのある丘の辺りに当てていたローターを、ゆっくりと下へとずらして一際敏感な陰核へと押し当てた。
ブブっと震える振動に「んっ」と唇の端からくぐもった声を漏らし、動き続けるローターを手に小さく息を乱した。

「そこが気持ちいいのか?いつの間にか悦もしっかり女になってたんだな。ガキの頃からお前を知ってる俺としては複雑な気分だよ」

「…そんなのっ…、思ってないくせにっ…」

「どうだったんだ、初体験ってやつは?気持ち良かったか?」

「んっ、…っ」

陰核に触れる振動に耐えながら、悦は首を横に振った。
ローターの先端部分を押し付け、徐々に頬にほんのりと赤みがさしていくのが見て取れる。
会話によって意識を俺の言葉に逸らされ、思うように快感に浸れないのか、悩まし気に脚を揺らした。

「悦、質問にはちゃんと答えろ」

「き、気持ちよく、なかった…、痛いしっ…、キモいし…っ、なんにも良くないっ…」

「…ひでーな。キモいは傷付くぞ」

「はるちゃんがっ、…よかったのに…っ」

「…知らねーよ、お前が勝手に他の男とヤッたんだろ」

冷たく言い放った言葉に悦は口を噤むと、手の中で動き続ける振動に集中するようにして目をきつく閉じた。
僅かにローターの位置を動かして快楽の波を引き寄せる姿を見ていた俺は、悦の脚の近くに転がっているリモコンを手に取り、振動の強弱が一番弱いものになっている事を確認した。

「悦…、しっかり当ててろよ」

「んっ、やっ…!」

リモコンのダイヤルを右に回して振動を一気に最大まで引き上げると、驚いて短い悲鳴と共に脚を閉じようとする悦の膝を掴んでその動きを制し、強引に左右に大きく開かせた。

「脚閉じんな。それも離すなよ」

「んっ…うっ、やだ、はるちゃん…っ」

「ほら、見ててやるからイってみろ。上手にイケたら、褒めてやる」

膝を掴んで脚を開かせたまま至近距離で囁くと、その言葉を合図に悦は俺の顔を潤んだ瞳で見つめ、ローターを持つ手に力を込めた。

「んっ、…っ、んぅ…っ!」

ブーンと小刻みに振動し続けるローターで陰核をなぞりながら強く押し付けたかと思うと、ビクッと躰を大きく痙攣させた。

「っ…ぁ」

ぷるぷると脚を震わせ、詰めていた息を吐き出すように悦は熱を持った吐息を漏らし、力が抜けた手からぽとりとローターをベッドに落とした。





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