「んっ…」

ぐったりと宮藤に躰を預けるように抱き着いている蓮の中から指をゆっくりと引き抜くと、脚を震わせている彼女の腰を引き寄せて自身の脚に座るように促す。

宮藤の脚を跨いで座った蓮は荒々しく肩を上下させたまま、ぼんやりと快楽の余韻に浸っていた。
何が起こったのかよく分からず、思考が上手く働かない。

「…満足したかよ、浅見。苦しいから少し力を緩めろ、お前のせいで手がべたべたなんだが」

呆れたように言いつつもどこか穏やかな口調の言葉に、蓮は宮藤の首に手を回したままそっと顔を上げた。

「どうすんの、これ。舐めて綺麗にするか」

とろりと垂れ下がった瞳で宮藤を見つめた後、差し出された濡れた指へと視線を向ける。
口許まで運ばれた宮藤の指を躊躇いなくぱくっと口に含み、丹念に舌を這わせ始めた。

「……ほんとにすんのかよ。言うこと聞かないのか聞くのかどっちなんだお前は」

黙ったまま宮藤の指を丁寧に舐めていたかと思うと、ちゅうっと指先に吸い付いてくる。
自覚があるのかないのか判断の付かない行動に対して宮藤は嫌そうな顔で口角を上げると、彼女を制すようにおでこを手で押した。

「…ストップ、もういいから。お前はどんだけ俺を煽れば気が済むんだ」

「……先生が舐めて綺麗にって言ったのに」

「口答えすんな」

不満そうな視線を無視して宮藤は机に置いてある箱ティッシュを数枚引き抜き濡れた指を拭き取った。
最初からこうしていればよかったのだと少し後悔した。

「…先生、キス…してもいい…?」

脚に座ったまま物欲しそうな視線を向けてくる蓮の姿に、宮藤は顔を顰めた。
一度目は不意打ちをくらわしてきた癖に、今度は聞くのか。

「…調子に乗るなよ、浅見。お前のおねだりをどれだけ聞いてやればいいんだ俺は」

「……キス…、先生とが初めてだったんだよ…」

「自分でしてきたんだろ、俺が奪ったみたいな言い方すんな」

そう言ってあしらうと蓮はじっとりと恨めしそうに宮藤を見つめた。
「したい」と顔に書いてあるのが見て取れる。

少しの間二人は睨み合うようにお互いの顔を見ていたが、折れたのは宮藤の方だった。
らしくないと思いつつも、自身の脚の上でちょこんと座っている蓮の姿が可愛いと思えないこともない。

「今更キスの一つや二つでごちゃごちゃ言っても仕方ねーもんな」

諦めたように溜め息混じりでそう呟くと、期待に満ちた瞳を向ける蓮の後頭部を掴んで食いつくように唇を奪った。

「んっ、」

思いがけず乱暴に唇が重なったことに蓮は驚いて目を見開くと、間髪入れずに舌が口内に侵入してきたことに躰を震わせた。

「ふっ…んんっ」

舌を絡めとられて吸われては、背筋にぞくぞくとした痺れが走る。
唇ごと食べらてしまいそうなキスを受け止めながら、合間に漏れる吐息が熱を持つ。

予想していたものの何倍もすごいキスが蓮の口内を犯すと、じわり、下腹部から熱いものが込み上げてきた。

「んぅ…、せん、せっ」

唇の形を確かめるように舌でなぞられ、角度を変えては重なる柔らかな感触が処理しきれない唾液と絡んで口の端からつうっと流れ落ちた。

「…俺を振り回した仕返しだ」

笑いを含んだ低く艶のある声の主の言葉と同時に、漸く唇が解放された。

キスだけでさっきまで味わっていた躰中の熱がぶり返し、蓮は呼吸を乱した。

「これ以上はおあずけだ、少しはお前も苦しめ」

最早何を言ってもこの躰に広がった疼きを解消してくれる気はないだろう。
そう思わせるぐらいには、今の宮藤は意地悪な顔をしていた。




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