「真琴」
心地良い声がする。
目の前にハルがいた。
夢…?
そう夢。
だったら何しても構わない、よね。
俺はハルの腕を軽く引く。
夢の中のハルは簡単に腕の中に来てくれる。
ちゅっ
その唇に、キスを落とした。
柔らかくて、あったかい。
すごくリアルな、夢。
そして、ハルの手が俺の頬に伸びてくる。
「いでっ」
目を開けると俺はハルに頬を抓られていた。
俺の腕の中にいるハル。
「あれ?今日のハルは珍しく大胆だね」
「違う、真琴を起こしに来たら腕引っ張られて、……キス…された」
え?
あれは夢だったはず。
でも感触とかが妙にリアルだった。
「まさか…」
「そのまさかだ」
ハルはどうやら怒っているようだ。
「ごめんね」
俺がすんなり謝るとは思ってなかったのか、驚いた顔をするハル。
「別に、いい」
嫌じゃなかったし。
そう続けた。
本当にハルは可愛いね、
耳元で囁くとびくりと肩が動いた。
「も、う離せ」
顔を真っ赤にしながら俺の腕からするりと抜けるハル。
「…そういえば、なんで俺を起こしに来てくれたの?」
「昼休みがあと5分で終わりだったから」
俺たちが授業に遅れたのは言うまでもない。
―――――