「映画楽しみだね〜」
「だな!」
仲よさげなカップルが通り過ぎる。
いいな、俺も手…繋ぎたい。
トキヤと。
「………音也?どうしたんです?」
カップルに気を取られ歩くのが遅くなっていた俺に気づくトキヤ。なんか嬉しい。
「あんな風に俺もトキヤと手ぇ繋ぎたいなぁって思ってたんだ」
正直に言ってみる。でもトキヤはきっといつもみたいに…
「恥ずかしいので却下です」
ほら、ね。
「俺は恥ずかしくないもん」
出来ることならトキヤと24時間触れ合っていたい、なんて。
「あなたは恥ずかしくなくても私が恥ずかしいんです」
「トキヤのばかぁ…」
ちょっと拗ねたふりをしてそっぽを向いて歩みを速める。
トキヤはこういうのに弱い。
「はぁ」
しばらくして、後ろで短いため息が聞こえる。
「……繋げばいいんでしょう?」
呆れながら、でも笑って言うトキヤ。
……………あれ、どうしよう
「っ…!」
俺の体温が急上昇したのが自分でもわかった。
―――――
「や、やっぱり繋がなくていい…!」
「なんでですか」
「べっつに〜」
トキヤが無駄にカッコイイのが悪いんだ