「神童!今日も剣城のシュート止めたぞ!」
今日こそ神童に認めてもらおう、と思ったが…
「そうか」
目も合わさずたったそれだけ言って神童は行ってしまった。
「くそっ」
神童は冷たい。しかも俺にだけ。
意味わかんねぇ。
――――――
「ごちそうさまでした」
最近神童は夕飯を食べ終わると必ずどこか行ってるようだ。
ついていってみるか。
一体何をしているのだろう。
しばらく歩くと神童は近くの公園に入っていった。
そして草むらにしゃがみ込んだ。
「ほら、今日も持ってきたぞ」
「にゃあ」
そこにあったのはダンボール。そして声の主は可愛らしい猫だった。
「早く飼い手が見つかるといいなぁ」
およそいつも俺に話しかけるときのトーンとは違う優しげな声と、笑顔。
あいつもこんな表情するんだな。
あの声と、あの表情。
いつも俺と話すときとは違う神童に胸がチクリと痛んだ。
猫に嫉妬、なんて馬鹿馬鹿しすぎる。
―――――