〜初めて見る後輩〜 全38P

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薫と大河が会話をしていたその頃……厚木の男子寮では、吾郎と寿也の間でこんな会話がなされているのだった………。




寮内の大浴場から部屋へと戻った吾郎から、寿也に向かってポイッと投げられた携帯……。

それを反射的に受け取った寿也へと、吾郎からの頼み事がされた。

すると、それに対して寿也からの質問が返される。




「え……携帯番号の登録……?吾郎くん、そんな事も出来ないの……?」

「出来ねぇから、頼んでんじゃん?別に、覚える気もないしな?」




その答えに、目を丸くした寿也。

そして、とても頼み事をしている側とは思えない、椅子に座り雑誌を見たままの偉そうな態度の吾郎へと呆れながらの言葉をかける。




「ねぇ、吾郎くん……?少しは『野球』以外の事にも、努力してみた方がいいと思うんだけどなぁ……」

「なぁ〜んだよ、寿……!やってくれないつもりかよ?」

「もちろん、やるけどね……。だって……僕がやらないからって、自分がやろうとするんじゃなくて、他の誰かに頼むだけなんでしょ?」

「へえ〜よくわかってるじゃねぇか?さすがは、俺の女房だな……!」

「君は、昔から人一倍わかりやすいタイプの旦那様だからね?」




苦笑を浮かべ、吾郎から手渡された携帯の操作をする寿也。そして、あっと言う間に登録を終えた寿也の声がかけられる。




「はい、これで終わり……!さあ、もう寝るよ?」




吾郎に携帯を渡すとすぐに、寿也によって部屋の電気が消された。

その為、補助灯だけになった明るさの下では、広げていた雑誌を見る事が出来なくなった吾郎からの文句が飛ばされる。




「あ、なんだよ……!まだ、見てんだぞ……!?」

「もう、グラビアなんか見てる時間じゃないよ。明日の朝の特練のこと忘れたの?」




そう言いつつ、自分のベットへと入ってゆく寿也を見ながら、吾郎には驚きの表情が浮かんだ。




「そ、そういや、そうだった……!!うわ、やべぇ〜〜さっさと、寝ねぇと……!」




人から借りた雑誌を放り投げ、慌てて2段ベットの上へと駆け上がった吾郎……。その様子を、寿也がクスッと笑う。

そして………




「お休み、吾郎くん……」

「お休み……明日、起こしてくれよ……な………寿………」




再び……勝手な頼み事をしてから、あっという間に眠ってしまう吾郎……。

その羨ましいほどの寝付きの良さをもつ吾郎へと、寿也からも再びの呆れた声が返された。




「ほんと……世話が焼けすぎなんだけどなぁ……?この旦那様は……」






いつもの事ながら……と思いつつ、苦笑しながらの眠りへとついた寿也……。



その真上のベットでは、既に寝息をたてている吾郎と、そんな吾郎の事を想い眠れずにいる薫……。



そして、今日の勝負を思い返しながら、自室のベット上で海堂の入学案内に目を通している大河……。




それぞれの夜………

そしてまた……それぞれの新しい朝は訪れる………。



本日、初めて出会った後輩との『野球』が出来る日まで……

新しい朝を、もうしばらく迎え続ける事となる吾郎なのであった………。



end

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あとがき

悠の世界の吾郎が、海堂に残ったお話しでした〜!
もう、無理無理ですが……(苦笑)

その為に、原作の設定から吾郎の右足のケガの時期を大幅に動かさせていただきましたので、そこはどうかご了承下さい(謝)

まさに大河が中心となって色々と動いてくれたこの作品ですが、やっぱり大河はゴロカオの2人にとって必要不可欠な存在ですよね〜!
そんな大河には、この先もゴロカオの為に頑張ってもらいたいです(笑)

まだまだゴロカオよりゴロトシ?の方が多かった位な今作品ですが(苦笑)最後までお読み下さって誠にありがとうございました!

悠 真那より

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