〜溶かしたいもの〜 全14P
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「そんじゃな。あんま痛かったら、医者に行けよ?」
普通なら10分もあれば到着するはずが、30分近くをかけてやっと家にたどり着いたあたし達。
玄関の中まで送ってくれた本田の今の台詞を聞き、あたしは慌てて返事をする。
「ま、待てよ、本田……!なんか飲んでから帰んないか?ここまで送ってくれたから、お礼に……って、わけでもないけどさ……」
どうにか、本田を引き留めたかったあたし……。
2階の部屋で、あのチョコレートが待ってるんだ。
それでも帰る、と言われたら……とにかくチョコだけは渡してから帰ってもらおう……と、思ったあたしに本田の答えが返される。
「礼ってんなら、飲むよりなんか食わせろよ。重いもの抱えてきたせいで、腹減っちまったからさ」
相変わらず余計な言葉が多い本田への怒りを抑え、無理に作った笑顔で家の中へと招き入れたあたしだった……。
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リビングへと入り、足をかばう為に壁や家具にも手を添えながらキッチンへと向かったあたし。
飲み物やお菓子を用意しながら、どのタイミングでチョコを渡そうかと考えていた。
(と、とりあえず、これを本田に出してから部屋に取りに行ってこないとだよな……?そ、その後はどうしよう……??途中で渡すより、帰る時の方がいいのかな………)
「…おい、清水。聞いてんのか……?」
とっくに注ぎ終わっているジュースが入ったコップを見つめたまま、1人考え中だったあたしのすぐ傍から聞こえたその声。
顔を上げると、リビングにいるとばかり思っていた本田が目の前に立っていた。
「き、聞いてるよ……!!あ、それよりちょうど良かった!これ、そっちに運んでもらってもいいか?」
慌てた声で、コップとお菓子の入ったお皿を乗せたトレーを指差したあたし。
本田は何も言わず、素直にそのトレーを持ってリビングに向かい始めてくれた。
そしてその後に、ほぼケンケンのような状態でのあたしが続く。
実は……本田の話なんか全く聞いてなかったんだけど、慌てたあたしは思わずそう答えてしまったんだ……。
「ほら、早く脱いで見せろっての!」
「…は……?ぬ、脱ぐ……??」
「いいから俺に見せてみろよ。今、話しただろ?」
持ってきてくれていたトレーを、本田がテーブルに置くなり始まったこの会話。
本田から言われた「脱いで見せろ」の言葉が、あたしの頭の中でグルグルと回り続ける。
(な、何を言ってんだこいつ……?は、話しただろって……一体どんな話だったんだよぉ〜??)
すぐにはとても動く気になれず、その後も立ったままでいるあたしを見て、呆れたような表情を浮かべた本田からの言葉が続いた。
「…んだよ……?またセクハラとか言うつもりかぁ?別にケガした足を俺が見る位、構わねぇだろ?」
「へ……?あ、足……??ああぁ〜足か!?そっか!脱ぐってのは靴下か!!そっか、そっかあぁ〜!!」
思わず両手を叩いて笑い出し、ソファーに座って左足に履いていた靴下をスポンッと脱いだあたし。
そんなあたしを見て、呆れた表情は変えずに近づいてきた本田があたしの足元に座った。
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