〜溶かしたいもの〜 全14P
〜溶かしたいもの〜 2011年2月更新
もうすぐ2月14日……。
その日は、あたしにとって生まれて初めてのバレンタインデーと言える日。
だってさ……10年かかって、やっと本気でチョコを渡したいと思ったヤツが出来たから……。
それがあいつだってのがちょっと(いや、かなり?)頭にくる気もするけれど、こればかりはどうしようもないよなぁ……。
あたしの心の中の、占いの本なんかでよく言う《恋愛を司る場所の扉》が、あいつのせいでジワジワと溶け始めちゃったみたいだから……。
「ああ〜悔しい!!なんで、よりにもよってあいつなんだろなぁ〜!?」
自分の部屋の机の上に置いてある箱を眺めながらぼやいた、もう何度目かもわからないこの台詞。
必死になって作って(ただ溶かして固めただけのチョコだけど……)
必死になってラッピングした(これは我ながら上出来だと思う……!)
その大切なはずの箱を、どうにもあたしは素直に受け止められずにいる。
この箱を見るたびに浮かんでくる、これを渡すべき人物の顔のせいで、あたしは1人でイライラし始めたりもするんだ。
実際のあいつの前でもいつだってこう……ちっとも可愛げのない女の子になってしまう……。
はああぁぁ……こんなんで、14日はちゃんと渡せんのかなあ……??
ああ〜もうっ!!あんたのせいで、あたしはこんなに悩んでんだぞ!?
一体どうしてくれるんだよ、本田〜!?
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