〜恋人と呼べる人〜

「うっわあ〜〜!こっちの2人も、ずっとどうかと思ってましたけど、佐藤先輩の方も結構やばいんじゃないスかぁ〜?」




親指で吾郎と薫を指差しながらの大河からのその言葉に、寿也の目が丸くなる。




「意外と、自分の事には……な、タイプだったりするんじゃないスかね……?早いとこ気付けないと、あちらさんみたく長くなっちゃいますよ?」

「そう……見える……?なら、これから注意していかないとだね……?」




そう答えながら苦笑を浮かべた寿也。その寿也の横からスッと前に出て、大河の頭をガシッとつかんだ吾郎からの言葉がかかる。




「いい加減にしろってんだよ……!さっきから、人をバカにした言い方しやがってよぉ……」

「ちょっ……な、何してんスか……!や、やめて下さいって……!」




ジト目の吾郎によってグリグリと頭を動かされている大河が、どうにかその手から逃れようと必死の抵抗をし始める。

すると、そんな光景をまるで気にしていない様子の寿也からの声がかけられた。




「ねえ……ここでの話で、まただいぶ時間が過ぎてきちゃったよ?このままだと、本当に時間が遅くなっちゃうから、そろそろ清水さんを送ったほうがいいんじゃないかな……?」

「あ、ああ、そうだよな?そんじゃ行くか、清水?」

「うん」




大河の頭から手を離し、出口へと体の向きを変えた吾郎に続こうとした薫。

その足を一歩出すその前に、寿也へと振り向いた薫が挨拶の言葉をかける。




「それじゃあ……今日は本当にどうもありがとう、寿くん……!それと一応……大河もな?」




満面の笑顔でそう言った薫を見て、寿也と大河の表情も笑顔に変わる。

そして……歩き出した薫へと、2人からの声が返された。




「気をつけてね、清水さん……!」

「親父達に、よろしく〜!」

「うん……!またね、寿くん……!大河は、ちゃんと頑張って練習しろよな〜!」




2人へと手を振りながら、吾郎の背中を追ってゆく薫……。

その後……並んで歩き始めた2人の後ろ姿を、しばらくの間、見送り続けた寿也と大河であった………。

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