〜恋人と呼べる人〜

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そしてこちらは……少し前の吾郎と薫の様子………

寿也と大河が2人で話し始めた頃の、吾郎達周辺での会話の内容は………




「へえ〜清水さんは、聖秀学院なんや?」

「確か、聖秀って女子高だよね?」

「女子高〜!?うわ、それいいなぁ〜〜まさに女の子だらけってやつなんだ……!!」




薫の周りに出来た3年生部員達の異常な程の盛り上がりに、向かいに座っている吾郎はただただ呆れる……。




(アホか、こいつら……海堂野球部の名が泣くぜ……。つか……!清水を相手に、よ〜くここまで盛りがつくもんだよなぁ……)




どう見ても、薫を女子として意識し甘ったるい喋り方さえしている者が多いこの状況……。

それをどうにも納得出来ない吾郎は、ずっと不機嫌顔でそっぽを向いているのだった。




「あ……いやぁ……今は共学になったから、男子も一応いるけど………」




そう答えた薫は、と言うと……先程から色々とされる質問にどうにか答えながら、チラッと吾郎の方を見る事を続けていた。

だが、しかし……そんな自分の方を見ようともしない吾郎が、ずっとそこにいるのだ。




(もう〜本田ぁぁ〜〜!少しは、この状況をフォローしろよぉ〜!!)




と……内心では、ずっと吾郎への文句をたらたらと述べ続けている薫に対し、部員達からの質問がまだ続く。




「茂野とは、リトルで一緒だったんだよね?て、事は清水さんも『野球』が好きなの?」

「え……?あ、ああ、そりゃあ……リトルの後はソフトになったけど、それは今も続けてるし……」

「おおぉ〜〜清水さん、ソフト部なんや〜〜!?じゃあ、俺達は同じボールを追う者同士なんやな〜〜!」

「おお〜〜そうだ、そうだ〜〜!」




((な……なんなんだ………この異常なハイテンションは………))




同時にジト目となった吾郎と薫……更に、2人の心の声までが同時に重なったのだった……。



そして、その後も………

しばらくの間、薫への3年生部員達からの群がり&質問が続き、とうとう吾郎へのこんな言葉までがかけられる。




「いいよなぁ〜茂野は……。お前は地元が近いから、清水さんみたいなガールフレンドにもすぐに会えるもんな?」




ドキッ………



国分からの言葉の響きに、薫の胸が小さく鳴った。




(ガ、ガールフレンド……だって………)




「んだよ、それは……?さっきから、言ってんだろ?こいつとはそんなんじゃなくて、ガキの頃からの『幼馴染』なんだっての」




ズキンッ………



先程とは違う、薫の胸の音……

痛みを帯びたこの音は、本日3度目となる吾郎からの『幼馴染』の言葉の投げかけのせいであった……。

その為……ゆっくりと薫の表情が変わってゆく……。

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