〜恋人と呼べる人〜

「え〜〜何よ、何っ……!?もしかして、清水くんのお姉さんって茂野くんの『彼女』なわけ〜〜!?」



ガクゥッ……!



先ほどよりも大きな動作で、こけた吾郎……。その吾郎から、すぐに文句が返される。




「なんで、今日はそんな事ばっか言われんだよ……!?こいつは俺の『幼馴染』なんだっつの……!!」

「え……茂野くんの『幼馴染』……なの……?」




と……なぜか寿也の方を向き、問いかけた静香。




「え……?あ、はい……清水さんは、リトル時代の茂野くんのチームメイトだったので……」

「おいおい……なんで、それを寿に聞くんだよ……?」




静香の質問相手が腑に落ちない吾郎には、大河からのボソッとした声が返された。




「正確な答えが、欲しかったからじゃないスか……?」




そう言った後、吾郎とは視線が合わないようフイッと横を向いた大河を、ジト目の吾郎が睨み付ける。




「へえ〜〜リトルで……!じゃあ、清水さんは佐藤くんの事も知ってるわけ?」

「あ?ああ……清水は俺と一緒に、リトル時代の寿也と戦ってるかんな」

「え……それって、例のあの試合って事……?凄いじゃない!」




今度は、自分へと向き問いかけてきた静香に答えを返した吾郎……。

その後、吾郎と静香とでリトル時代の話がされ始めた中、小さくため息をついた薫がまた俯いてしまう。




(…本当に……今日は、ずいぶんと『幼馴染』の言葉を食らう日だなぁ……)




先程のグラウンド前での時と同様に、急に塞ぎ込んだ表情になった薫の様子にまた気付いた寿也……。

思わず、そんな薫の様子をうかがっていたその時……吾郎に話しかけられ、慌てて笑顔を作ってから答え始めた薫の態度に、何かを感じる寿也であった……。

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