〜恋人と呼べる人〜

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特待生がトレーニング中のプールへと続いている、更衣室の入り口に着いた3人。

当然、薫を連れていきなり入るわけにはいかず、まずは1人で中の様子を確認しに行く事となった寿也が入室し、その後しばらくしてから2人の待つ廊下へと戻ってきた。




「まだ、トレーニングは終わりそうにないね。事情をコーチに話して、清水さんはどこか別の場所で待つようにしようか?」




更衣室のドアを開けながら、寿也が2人に伝えたその言葉。それを聞いた薫が、思った事を願い出る。




「うん。もちろん、それでいいんだけど……ちょこっとだけでも、大河のトレーニング姿って見たりできないかな……?」

「ああ、そんなら……別に、この中から見てってもいいんじゃねぇの?どうせ今は、更衣室には誰もいないんだろ?」

「あ、うん、そうだね。更衣室の奥からプール内が見えるし、ちゃんと清水もいたからさ」

「よし。ほんじゃ、さっさと中に入ろうぜ」




そう言って、真っ先にドアを開けた吾郎の後に続き、更衣室内へと入ってゆく寿也と薫であった……。





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先程、寿也が言った通り……全く、人気のない更衣室へと入った3人……。

その奥から続いているプール内より、トレーニング中の特待生達の声と水音が聞こえてくる中、先に進んだ寿也が薫へと手招きをする。

そして、まさにここを通過してプールサイドへと入ってゆく為の、シャワー下の壁際に立つよう、薫を案内した寿也であった。




「ここから、あまり顔は出さずに覗いて見た方がいいよ?また、誰かに見つかって騒がれると厄介でしょ?」

「うん。ありがとう、寿くん」




そう答えた薫は、シャワーの壁に張り付くようにして大河の姿を探し始める。




「あ……いたいた……!ふ〜ん……あの面倒臭がりが、真面目な顔して頑張ってるじゃん」

「へえ……大河のヤツ、どんなトレーニングをやってんだ?」




薫の言葉で、特待生達の練習内容が気になり、シャワーの壁伝いに前へと出ようとした吾郎。

と、その時……壁に添えていた吾郎の手が、その場所にあったボタンに触れる。



カチッ……!



全く無意識の吾郎によって押されたボタン……その音と光景を見た寿也が、慌てて叫んだ。




「ご、吾郎くんっ……!?スイッチがっ……!!」




ザアアアアアァッ………!!




勢いよく噴き出したシャワーからの水……プール用に設定された温かいとまでは言えない水が、吾郎と薫の頭上から降り注ぐ。




「やっ……だあぁ〜っ……!?な、何、これえぇ〜〜!?」

「う、わっ……!?や、やべえっ……!!」




慌てて、再度スイッチを押した吾郎……。すぐにシャワーの水は止まった……が、どうやら、時はすでに遅しのようだ……。




「な、何をやってんのさ、吾郎くん……!?だ、大丈夫、清水さ……ん………」




吾郎を一喝してから薫へと声をかけた寿也であったが、その目に映った姿に思わず動きが止まってしまう……。



これこそまさに、今日に限って……と、言えるのだろう……。

前面にプリントはあるものの、オフホワイト生地のカットソーを着ていた薫……。

それが濡れた事により、ピンク色の下着が見事なほどに透けて見えてしまっているのだ。

その姿に、吾郎からも思わずの呟きが発せられる……。

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