〜苦手?生意気?可愛い後輩?〜 全16P

「あたし達が似てるってのは……顔、だよな……?それとも、性格とかそういうの……?」

「顔だよ、顔……!いや、まあ……あの生意気な性格も似てるのかもしんねぇけどよぉ……」

「はあっ!?あたしのどこが、あいつみたく生意気だってのさっ!?」

「やっ……だ、だから、俺が似てるか聞いてんのは顔だっての!顔、顔っ……!」




慌てた声でそう言った、焦り顔の吾郎の様子が目に映り、クスリと笑った薫が答える。




「大河とは、顔が似てるって言われた事は無いけどなぁ……。でも、なんでそんな事を聞くんだよ?本田には、大河とあたしが似て見えたのか?」

「へ……?それ、マジかよ……だって、お前ら似てんじゃんか……?特に、笑ったりするとよぉ……」

「え……そ、そう……?へえ、そっかぁ……本田は、そう思うんだ……」




吾郎の目の前に立つ大河を通して、自分の面影を感じてくれている事を嬉しく思えてしまった薫……。そんな薫へと、吾郎からは腑に落ちないといった感じを示す言葉が返される。




「っかしいよなぁ……なんで、誰も思わねぇんだ……?」

「あ……でも、うちの両親はたまにそう言ってるよ?あたし達2人が似てるってさ」

「って、なぁ……俺はお前らの親と同じ見え方してるって事かよ……?いくら俺でも、そこまではお前らの世話は焼いてねぇぞ?」

「いくら俺でも……なんて、よく言えるよなぁ……?大体、本田は誰かの世話を焼く方じゃなくて焼かれる方だろ……!」

「寿も似てねぇって言うしよぉ……なんか、納得いかねぇんだよなぁ〜」




人の話を聞いてるのか?な、声を返してきた吾郎へと、苦笑気味になった薫。

で、あったのだが……再度自分の手元にある吾郎の記事の数々が目に入った事で、薫には先程の不安が思い返される。

この電話の先にいるのは「いつも通り」の吾郎……。だが……これほど多くの新聞などにまで載るようになってしまった吾郎は、この先も「いつも通り」でいてくれるのだろうか……と………。




「なあ……本田………」

「あ……?」




また、電話で話したい……そして、また会いたい………。薫の胸の中のその言葉は、すぐに声に変える事は出来なかった……。




「う、ううん、なんでもない……!今は部屋だって言ってたよな?すごく静かだけど、寿くんもいるのか?」

「ああ、寿は今ミーティングに行ってんだ。なんせ、あいつはうちのキャプテンだからな?俺と違って夜も忙しいんだよ」

「そ、そっか……こんな時間まで大変だね」

「まあな。けど、そろそろ戻ってくる頃だと思うぜ?」

「え……あ、そ、そうなんだ……あ、あのさ、本田……」




吾郎が1人きりだと聞き「また電話してもいいか……?」と、先程は声に変える事の出来なかった問いかけを再びしてみようとした薫に、誰もがよく知る音が聞こえる。



カチャンッ……



吾郎の携帯を通し、薫にも聞こえたドアが開く音……。そしてすぐに、吾郎の声がそれに続いた。




「お……なんだよ、すげぇタイミングだな……?よお、寿、お疲れさん……!」

「ただいま……って、あれ……吾郎くん、電話中なの……?ごめん、邪魔しちゃったかな?」




聞こえたその声にドキッとしてしまった薫。その為に、慌てた声での挨拶が口をついて出る。

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