〜苦手?生意気?可愛い後輩?〜 全16P

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到着した球場内のロッカールームで、無事な1軍メンバー達と合流した吾郎。

その吾郎へと、いの一番で駆け寄って来たのは当然の人物であった……。




「吾郎くん……!!」

「寿……!お前は大丈夫なのかよ……!?」

「うん、今のところはね……僕以外も、一番最初に具合が悪くなった矢尾板と同室だったメンバー以外には症状が出たりはしていないんだけど……まさか、決勝戦の直前にこんな事になっちゃうなんてさ……」

「朝から、大変だったみたいだな……?けど……お前が無事で良かったぜ」




それは……海堂にとって大切な主砲が……の意味と、自分にとって大切な親友が……の意味との両方の想いが込められていた吾郎からの言葉……。

それを聞き、ニコリと笑った寿也が声を返した。




「ありがとう、吾郎くん……。さぁ、早くこっちでユニフォームに着替えようよ。吾郎くんは矢尾板と代わるから、ポジションと打順もそのままのライトで7番での出場だよ」




その言葉が終わらぬ間に、吾郎の腕をとって案内をし始めた寿也へと、うんざりした笑顔となった吾郎の声が返される。




「慌ただしいねぇ……。ここに来る間も、事故で死ぬかと思う位のスピードでぶっ飛ばされ続けたしよぉ……」

「いきなり呼び出されたから、大変だったよね……?でも……僕は例えこんな形でも、吾郎くんと一緒に公式戦への出場が出来て嬉しいよ」




笑顔の寿也のその言葉に、目を丸くした吾郎……。その吾郎へと、表情が苦笑に変わった寿也の言葉が続く。




「吾郎くんにとっては、忘れられそうにない公式戦初出場になっちゃったけどね……?」




これを聞き、寿也と同じ苦笑を浮かべた吾郎は、腕を引かれたままロッカールームへと入ってゆくのであった……。

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