刀剣乱舞 | ナノ

仕事に行きたくない主とダメな方の(大般若)長光


「行きたくない」

ブッスーとふてくされて、ごろんと床に転がるみわ。困ったように柳眉を下げてこちらをみる燭台切光忠を、大倶利伽羅は無視した。

「でも今日は大事な会議があると言ってたじゃないか」
「あの上司殺したい…」
「オーケー、愚痴ならいくらでも聞こうじゃないか」

どろんとした闇サイドに落ちかけているみわの脇に手を入れて、猫の子のようにすくい上げる。しかし主は液状化していた。関節がない生き物のようにぐでんと成すがままにされるみわ、スライムかな。どうしたものかと迷っていると、「お困りかい?」とダメな方の長光がやって来た。

「うんうん、なるほどねぇ。そりゃあ、仕事なんて行きたくないわなあ。そういう時はサボってしまえばいい、君がいないとどれほどに困るか上司に解らせてやるのさ!」
「長光くん、ちょっと」

タイムが入った。
光忠に呼び出しを食らい「そういう方向性は困る」と注意を受けた大般若長光だが、本人は「しかしねぇ」とウイスキーボトルを取り出した。

「本人が行きたくないといってるんだ、そうしてやるのも良いんじゃないのかい。これがいつもなら問題かもしれないが、そういう訳でもないだろう」
「うん、…まあそうだけど」

大倶利伽羅がペティナイフで丁寧にイチゴのヘタを取っている。それを一つ拝借した大般若が、手慣れた様子でロックを作りながら「大事な女のワガママは聞いてやりたくなるもんだ」と笑って見せる。…昼間から酒を飲んだくれているヤツに言われても説得力がないな、と大倶利伽羅は心の中で思った。

「そういうわけだ。主、今日は仕事をサボって俺とショッピングにでもいくかい? 祖が車を出してくれるらしい」
「え、そんなこと一言も言ってないんだけど?」
「…それよりもおうちでねたい」
「よしきた、じゃあこの大般若長光が添い寝をしてやろう」
「ちょっと、お酒飲みながら主と添い寝なんて止めてよ。長船派のブランドイメージに関わるから」

「みわ」

大倶利伽羅に呼ばれて、みわがのそりと顔を上げた。無言で見返してくるみわに、大倶利伽羅はなんてことない風に言った。

「腹が減ったら来い、アンタの好きなケーキ焼いておいてやる」
「…うん、ありがと」

それだけいって、大倶利伽羅はさっさと厨房に戻った。
みわは大般若(ほろ酔い)と二度寝し、起きたら燭台切光忠が作ってくれた好物のフルコースと、大倶利伽羅のケーキでほっこり癒された。「明日からがんばる」というみわに、ダメな方の長光が「頑張る必要はないさ、いつも通りいこう」と大吟醸を煽った。

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