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折原臨也が幸せにできる方法


「ひなみはどんな男と結婚したいの」

唐突な臨也の質問にひなみはぱちりと瞬きをした。テレビでは先ほどから新婚ほやほやの夫婦が嬉しそうにインタビューに答えている。臨也の家の大きなテレビの前にちょこんと体育座りしながら、ひなみは黒い革張りのソファに座っている臨也を見た。赤い瞳は冷たい温度のままテレビを睥睨しており、ひなみを映していない。

「顔が良いやつ?愛してくれるやつ?優しくしてくれるやつ?平凡なやつ?ひなみを危険な目に会わせないような社会のお手本みたいな男?自分の快楽に身を任せずにまっすぐにひなみを見てくれる人?ずっとひなみだけを愛して、ひなみだけを求めてくれる人?…余所見なんてしないで、嘘なんてつかないで、…そういう男が良いの?」

臨也の言葉で浮かんだのは、臨也とは正反対の旦那様のイメージ。

何もないひなみに似合う等身大の恋人、その人はまっすぐに自分だけを愛してくれるのならきっと幸せだろう。でも、ひなみは知っている。そんな人間、この世にいない。

すくなくとも、ひなみをそうやって愛してくれる男なんていない。

「…お金、」

だからひなみは、そんなもの端から望んだりしない。

「お金がある人。結婚するんだもん、なによりもそれでしょう」
「…」
「お金さえ持ってる人なら別に愛してくれなくてもいーよ」

中途半端に愛されるくらいなら、いっそ同情して貰ったほうが良い。嘯く愛の言葉より、真実の無関心が欲しい。そうすれば、期待せずに済むから。

「…きみ、絶対に幸せにはなれないタイプだよね」
「幸せになろうと努力はしてるよ」
「どうだか」

そう言って臨也が鼻で笑う。その赤い眼は心なしかひと肌程度の温度は取り戻しているように見えて、ひなみはテレビに直った。そこには新婚夫婦が嬉しそうにペアリングを見せていた。

「…ひなみ、」
「ん」
「俺さ、金だけは持ってんだよね。腐るほど、」

ふるりと見上げた先で、臨也が片眉を吊り上げて笑った。


「他にはなーんも、手に入らなかったけど」


そう言う臨也はやぱりひなみを見ていなかった。だからひなみもテレビに向き直り「自業自得でしょう」と呟いた。

テレビに出ていた新婚夫妻は、3か月後離婚したそうだ。
臨也が仕事の片手間に教えた情報に、ひなみは「なんのこと」と小首を傾げる。それに臨也は、満足そうに笑っていた。

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