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ダイゴさんと行く裂空の訪問者


※ポケマスおめでとう



「旅行に行こうか」

激動のホウエンリーグ繁忙期を抜けた春、ふらりと死に体で帰宅したダイゴさんがそんなことを言った。

ちなみにその直後、ソファの上に倒れて死んだように眠った。取り残されたエアームドとソファの背に止まっていたアゲハントが、どうするのと言う様に首を傾げるが…どうしようね。

「しあわせそうな顔」

くうと、ソファの上でやり切った顔で眠るダイゴさん、その首で半分よれている赤いアスコットタイをほどいた。





___そんなことがあってから数日たった秋晴れの良い日。わたしは朝から「おはよう!」と元気いっぱいにカーテンを開くダイゴさんに連れられて、ホウエン地方の南へと移動した。

行先は着いてからのお楽しみということで、事前に手配しておいてくれたらしいチケットを一度も見せてもらえなかったので行先は不明。それでもヒマワキシティを超えた川の中州、専用のリニアに乗ると程なくして見えてきた風貌に正体を知る。

ラルースシティ
ホウエン地方を始めとするあらゆる最先端技術が詰まった技術ハイテク都市。美しい緑の景観を壊さないように硝子中心で構成された街並みは素晴らしい、まるで陽の光に透かしたビー玉の中にいるみたいだ。

「シノ」

リニアの自動ドアが開くと、ダイゴさんが手を差し伸べてくれる。その好意に甘えて手を重ねると、ふと違和感を覚えた。なんだろうと考えながら自動ドアを降りて悶々としていると、ダイゴさんが不思議そうに顔を覗き込んでくる。

「あ」
「シノどうしたの、忘れ物?」
「ううん、そうじゃなくて。ダイゴさん、いつもの指輪していないのね」

繋がって手を持ち上げて見れば、やはり指輪がない。…手を繋いだ時に感じた暖かさは、何時も装飾が阻んでいた隙間が無くなったから。いつも必ず着けているのに珍しいと思って聞いたのだが、ダイゴさんはなんでもないという風に答える。

「うん、旅行中は必要にならないから」
「どうして」
「君がいるだろ」

楽しそうに笑うダイゴさん、ホリゾンブルー睫が揺れて眩しそうにわたしを見た。今一彼の言わんとしていることが解らない、4つの指輪とわたしの共通点とは何か。

「手を握っていると寂しくならないから」
「惜しい」
「ダンベル替わり」
「もう一声」
「……真面目に教える気がないでしょう」

どうにも軽薄な掛け声にじとりと睨みつければ、ダイゴさんが「バレた?」と囁く。誤魔化すように手をぶんぶん振るので、本当にこの人はいつまでたっても大人こどもだ。

「ハイテクの街、ラルースシティへようこそ。身分証になるものをご提示ください」
「どうぞ、ボクと彼女で2人分だ」

トレーナーカード2枚を窓口の女性に差し出すと、それを…おそらくダイゴさんのカードだろう…見た女性が、わかりやすく動揺する。え、え、とカードをダイゴさんの顔を見比べて、終いにはイスから立ち上がろうとするので慌ててダイゴさんが顔を寄せて囁いた。

「秘密にして、今日はオフなんだ」
「____あ、  あ、なるほど…。失礼いたしました! カードの方拝見させていただきました。問題ありません、お返しいたしますね」
「どうも」

口元に指を宛ててシィと囁く様子と、わたしを見て状況を察してくれたのだろう。いつものチャンピオンとしての正装ではなく、春らしいパステルグリーンのスウィングカラー。それに薄いグレーのサングラスをかけて

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