Fate | ナノ

迷い込んだ楽園で教祖マーリンに食べられる


※現パロ、微人外設定



___その神はこの世のあらゆる苦しみから人々を救い、その魂を楽園へと誘ってくれるという。

母がそのカルトにのめり込んでしまった理由は他でもない、父の裏切りであった。それが何時から続いている裏切り行為なのかはわからないが、父は母以外の女性に夢中になっていた。その許しがたい所業は、母の心を切り刻み、悲しみと憎しみ…怒りを伴う深い疵を刻み込んだ。

母は自分の心の安寧を保つために、カルトにのめり込んでいった。父は名前も知らない女の元へ、母は救いを求めてカルト集会へと赴く。娘であるわたしは…ひとり家に取り残された。

家に残る暖かい家族の面影を集めては寂しさの慰めとする日々。そんな日々は、突然として終わりを告げる。久しぶりに家に戻って来た母が、わたしの手を引いて家から連れ出したのだ。

「お母さん、どこにいくの」
「聖なる土地へ、ここは悪いものが沢山ある。あなたを守るために必要な事なの」

わたしを車に押し込めて、母はハンドルを切る。その運転はスムーズであったが、わたしの心臓は今にも破裂しそうなほど不安に波打っていた。

「お母さん、帰らないと。明日も大学に行かないといけないの」
「もう行く必要はない、必要なことはすべて教祖様が教えてくださるわ」
「お母さん」
「あなたを守るためなの、ミワ。解ってちょうだい、あなたはあの男とは違ってわたしのことを愛してくれているはず。なら言うことに従って」

そう言って微笑む母の目にわたしは映っているのだろうか。それ以上は何も言えず、わたしは黙って母の言うことに従った。

母の車は故郷のコーンウォールを抜けて、深い森へと進んでいく。鬱蒼と茂る森は霧に包まれており、わたしたちがどこに向かっているのか、どこから来たのかも曖昧にさせる。カーライトの光を呑み込んでしまう霧は、童話で語られる強大な生き物を想わせた。

「さあ下りて、ここからは歩いていきましょう」

唐突に母が車を止める、標識があるわけでもない脈絡のない行動だった。草はぬかるみ腐葉土となり、霧が体の温度を奪っていく。

足に根が生えてしまったように立ち止まってしまったわたしの手を引いて、母は進む。その歩みに迷いはない、母はまるで標が見えている様に進んでいった。

それが胸の内に潜む不安を荒立てる。一歩進むたびに、森を拒むような恐怖が大きくなっていく。まるで霧に隠れた大きな獣の口の中に自ら赴いているような、頭の奥深く見えない何かが警告を発している。

これ以上はいけないと、だけれど。
__心の弱った母の手を手放せるほど、わたしは強い人間はない。

確かに長い時間わたしを慈しんでくれた優しい母の姿が脳裏をよぎる。それに縋るようにして、わたしは氷の様に冷たい母の手を握り締めた。

「さあ、ここよ。これから私たちはここで暮らすの」
「ああ、いらっしゃい」
「ようこそ、迷いし子よ。楽園は君たちを歓迎するだろう」
「ようこそ」
「ようこそ」
「迷いし子等、あなたたちの月の御方の祝福があらんことを」

霧の奥深く、渓谷を切り開くようにしてその村は存在していた。人々は母をおかえりと抱きしめて、わたしにようこそと花冠を授ける。黒い森には似つかわしくない極彩色の花冠が、この場に酷くそぐわない。それこそがこの村の異常性の現われのように思った。

村に名前などない、ここはひとつの信仰をともにしている者たちが集まり生活を共にしていた。歓迎の儀式であると連れて行かれた渓谷の奥深くは、花畑に覆われた楽園のような場所であった。それだけであったのなら夢のような光景だと喜べたことだろう。

だがそのさらに奥、列石の道に導かれるように進んだ先にはストーンヘンジに囲まれた祭儀場があった。その中央には不思議な建造物が置かれている。一際多くの供物を捧げられているのは、乱雑に積み上げた長い石(メンヒル)。それはそれ自体がひとつの塔であるように聳えていた。

「我らが救いの神、永遠の楽園にて待つ尊き御方」
「月より訪れし監視者」
「我らをこの世の苦しみから救い、高次元へと召し上げくださいませ」

(……こわい、)

皆が平伏している、地面に額を擦りつけて。見様見真似でわたしも額を土に擦り付けた、そうしなければ殺されてしまう気がした。隣で平伏しながら口上を述べる母の声が遠くに聞こえる。それなのに、今にも破裂してしまいそうな心臓の音が耳元で聞こえるように大きく感じた。

乱れる呼吸がバレないように、猜疑心に塗れる心を読み取られない様に。必死に目を瞑って祈った、名前の知らない神様ではない。形のある人間社会の機構に、大学の友人たちに、近所に住んでいる親しき人たちに___ああどうか、異変に気付いてわたしを助けて。







「ミワちゃん、これを持っていきなさい。沢山食べなさいな」
「…ありがとうございます、フィッシャーさん」

手渡されたカゴいっぱいの野菜を受け取って、逃げるように自分の小屋へと戻った。村では家族であろうとひとりでの生活が義務付けられていた。男女は更に区別され、特別な儀式の日を除いて交わることを禁止されている。

最初こそ傍にいてくれた母であるが、彼女は資格があるとして花のローブを纏った信者に連れて行かれてしまった。日夜特別な場所で祈りを捧げていると聞くが、それも真偽は定かではない。

逃げ出したい、だけど母を置いていくことはできるはずがない。

(…くさい、)

暗幕を降ろして、くんと野菜の匂いを嗅ぐ。噎せ返るような花の香り、これは村のあちこちから香った。どこから香ってくるものなのか解らない、一度信者に訊ねると『夢の香り』であると言っていた。彼らが称える尊き方の足元に咲く天界の花であり、苦しい現世の柵から解き放ち然るべき楽園に導いてくれるとも。

彼らが語る効能は、薬物中毒によく似ていた。阿片の類かと疑ったが、専門的な知識のないわたしでは判別が難しい。なるべく嗅がないようにと注意しているが、そこら中から際限なく香るのだから回避しようがない。

いまのところ目に見えた中毒症状が出ていないことが救いだった。この野菜もできれば口にしたくないが、迫りくる飢餓には抗いようがない。香りが落ちるように水を貯めたボウルに野菜を浮かべ、ベッドの上に横になる。

(ねむい…)

知らない内に緊張して疲れが溜まっているのか、ここのところ昼間であっても眠気が襲ってくる。どうしてだろうかと頭を悩ませながら、ベッドのシーツに潜り込むのと_____その声が、耳元で囁かれるのは同時だった。

「ミワ」
「_____!」

背筋がぞわりと粟立つほど、優しく甘い声音。弾かれる様にして飛び起きれば、それを見ていた…侵入者は、くすくすと笑った。暗幕を引いた薄暗い部屋の中でも良く解る月光色の髪に、その色を持った信者はこの奇怪な村であっても一人しかいない。

「マーリン、あなたどこから!」
「どこからとは、意味のないことを聞く。この場にあって、僕が立ち入れない場所はないよ」

こちらは怒っているというのに、マーリンはまるで歌うように朗らかに答える。羞恥と怒りでかあと赤くなった顔を、するりと冷たい指が撫でた。唇の形をなぞるように触れて、くすくすと笑う端正な顔立ちの青年。

彼はマーリンと名乗った、苗字はないというので本名なのかも怪しい。この村に住まう信者のひとりであり、村に来たばかりのある日、道に迷っていたわたしの前に突然として現れて目的の場所へと案内してくれた。それからというもの何が気に入ったのか、こうしてわたしの小屋に断りもなしに上がり込んでくる困った男だ。

「出て行って」
「意地悪なことをいうね、すぐ後悔することになると思うけれど良いのかい。ほらほら、僕の機嫌がいい内に、謝っておいた方がいいぞう!」
「おかしなことを」
「お母さんの様子を知りたいんじゃないのかい」

追い返そうとマーリンの肩を圧していた手が止まってしまう。そんなわたしを見て肯と捉えたのだろう、マーリンはライラックの瞳を眩しそうに眇めてするりと体を近づける。唇が触れて、吐息を感じてしまうほど近く。詰められた距離に動けなくなるわたしを、優しく言い含めるようにしてマーリンが歌う。

「機嫌の取り方は教えただろう」

言葉を返そうと開いた唇に、彼のものが重なる。零れる吐息すら呑み込んで、促すように唇を食まれた。彼が嗤っているのが解る、この状況を愉しんでいるのだ。弄ばれているのが良く解る、それでも彼の要求に従うしかない自分が悔しい。

月色の髪ごと抱きしめて、自分から深く口付ける。マーリンの身体からは、あの噎せ返るような夢の香りがした。



「君のお母さんは、朔夜の儀式の準備で忙しいようだ」
「朔夜の、儀式…? ン、」
「そう、この教団において最も重要な儀式のひとつさ」

ちくりと肩に噛みついた後、その痕を慰めるように舌で辿る。わたしの呼吸が少しずつ落ち着いてくると、それを荒立てるように腰を揺する。胎の奥深くに穿れた熱が、再び焚き付けるようにして最奥を小突いた。

「月に座す我らが主は、朔の夜になるとその力が反転する。輝きを失い人に堕ちた主を、教徒たちが供物を持ち寄ってお慰めするんだ」

言葉の合間にも、彼は動きを絶やさない。まるで覚えの悪い子どもに教え込むように、一定のリズムで子宮を揺する。彼の熱の先が触れる度に、時間をかけて解された子宮が蕩けて名残惜しそうに吸い付いているのが解る。とろりと零れた愛液がその証拠というように、彼の熱が押し込まれる度に膣に広がってその動きを手助けする。

そうなってしまえば頭から足の先まで、マーリンの与えてくれる快感で満たされた。だけれどそれを悟られたくなくて、そんな自分を認めたくなくて。砂粒みたに散り散りになった理性を必死にかき集めて、彼の言葉を拾い上げる。

「く、もつ」
「そう、彼が好むものは色々ある。花や歌、喜びと賞賛、___ああ、それに女と快楽」
「あ ン 」

「まさに、今の君そのものだ」

腰を引き寄せられ、重ねるようにマーリンが腰を深く落とす。すると焼き鏝のように熱い先が、ぐちりと一番奥を押し上げた。ぴちりと隙間ないほどに触れあっているのに、足りないと言う様に彼が腰を揺する。何度も繰り返された慰みに、見えない重さのようなものが溜まった子宮を深く穿たれて声にならない。

それが解っているのか、マーリンがそのまま深く何度も子宮を揺すった。大きな動きはしていないのに彼の重さと、衝動で押しつぶされそうな恐怖に駆られる。とてつもない大きなものがすぐそこまで来ている気がして、逃げだそうと体を捻じっても彼の手がそれを許さない。視界が明滅するほど熱が足の先まで走って、頭がどうにかなりそうだった。

「ぃ や マーリン、 あぐ、 イ イぐ やめ」
「何度でも、君が望むだけ」
「あ やだ、 こわ、い や め、 むり むり、な ____ ぁ、」

激しいものではない、優しくゆっくりとした交わりなのに、それがこんなにも気持ち良いものなんて知らなかった。

びくんと、子宮が鳴いた。煮えたぎっていた胎の熱が弾けて、糸がプツンと切れるような。ずっと子宮に溜まっていた快感の封が切れて、じわりと全身に染み渡っていく。指の先まで侵すような、最後に残った理性さえも無慈悲に奪う甘い浸食、

膣の中をぴちりと埋まっている彼を締め付ければ、それが悦いのか愉しむように腰を揺すった。イったばかりの身体にそれは拷問のようで、止めてと名前を呼んでも甘い囁きになるばかりで意味がない。ぬるりと愛液に塗れた熱が抜けていく、ずっとお腹いっぱいに詰まっていた質量が抜けて僅かな寂しさを感じるのも束の間、再びずるりと奥まで押し込まれる。

そういえば、今日彼はイっただろうか。スキンをしていないのだから、ナカに出さないように気を付けてほしいのに。一度だってマーリンが果てるところを見たことがない、それまでに何度もイかされて…何時もわたしの意識の方が先に溶けてしまう。張りのあるままの返しが、出ていくときにぞりぞりと膣を引っ掻くのが気持ちいいの。それが再び戻ってきて、子宮にくちりとキスをするのも。

終わらない快楽の波、噎せ返るような花の香り、マーリンの歌うような声。ああ、まるでここが……らく、え





何度目かになる深い絶頂に犯され虚ろな目をするミワに、マーリンはうっそりとほほ笑む。白い彼女の身体の奥深く、茨のように溶けた彼の呪いは完璧であった。自らの手で植えつけた因果の種は、性行為を経て快楽に浸ったミワの身体という苗床に育まれ、完全に花開いた。

これならばこんな写し身ではない…本体のマーリンを相手にしても、苦なく受け入れることができるだろう。

「朔夜が待ち遠しいよ」

するりと薄い胎を撫でる。初めて目にした日から、ずっとずっと思っていた。ミワの目も耳も口も何もかも、ただ一人マーリンの為だけにあればいいと。だからまずは母親から堕として、ミワをこの地に連れて来させた。ここはマーリンの腹の中、最も権能を色濃く映した世界の箱庭。

既に、従順な徒に信託を下している。儀式の贄に選ばれたミワは、明晩鮮やかに彩られ祭壇にくべられる。マーリンだけの花嫁として、多くの信者の祝福を受けながら名実ともに彼だけのものになるのだ。

衆目に晒されながら胎の奥までマーリンを受け入れ、この小さな子宮では受け止められないほどの祝福を与えられる。そうして____この胎に、神の子を宿すまで儀式は終わることはない。

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