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我愛羅くんとご挨拶する


「え、げきだんのひとではないのですか…!」

がーんっと。見えない雷に打たれたように衝撃を受けるわたしを、我愛羅(があら)というらしい彼はこくりと頷いて見せました。わたしは地面に倒れこみました。orzです。こうしているとまるで我愛羅くんに土下座してるみたいですね。…それに気付いてすぐにとびあがりました。いや、だってそんなわたしの矜持が傷つくじゃないですか。

「す、すみませんとりみだしました…てっきり、おなじきょうくうのかたかと…」
「きょう『ぐ』う」
「…きょうぐうの、かたかと…」

いやーおどろきました。

「我愛羅くんといいましたか、すごいですね。おとなと同じことができるなんて…」
「…お前、これのことを言ってるのか」

いいきるか前かのところで、我愛羅くんの後から影が落ちてきました。見上げると砂がまるで意思をもったように蠢いていました。おもわず歓声の音がもれます。

「おおおお、すごいです」
「…」

ぱちぱちと拍手するわたしに、鋭い視線が飛んできます。まるで体の向こうまで貫きそうな視線に思わずたじろぐと、それを許さないとばかりに我愛羅くんがずいと近づいてきます。

「お前、…この里の人間じゃないな」
「え、え、なにをいまさら…」
「……この里に、俺を知らないヤツはいない」
「ユーメイジンなのですか」

なぜか我愛羅くんは苦い顔で黙った。

「…お前、名は」
「またはなしがとびましたね」
「いいから答えろ」
「こたえましゅのでお、おきをたしかに…!」

ちょっと口答えしたら、きゅっと砂で首を締められました。こわいです!でぃーぶいです!このひとていしゅかんぱくです!

「ごほっごふっ」
「早く言え」
「ちょ、せきこんでいるのはだれのせいだと…ナズナです!ナズナとゆいます!」

吐き出そうとした怒りの言葉は、ゆらめいた無数の砂の蛇にひっこんでしまいます。お、おどしよくない!

「ナズナ…、どこから来た」
「ど、どこからときかれても…ちちちがいます!こたえたくないのではないのです!くるしいくるしい!」

今度はきゅっと足首を掴まれました。いたいよ!しかもダブルだよ!

「げ、げきだんのですね、いちざにいるので、どこからといわれてもこたえられないのですよ!」
「ゲキダン?___ああ、旅芸人か、」

我愛羅くんはひとり納得したように呟くと、ゆるりと締めつけを解いてくれました。力だけね、砂の蛇はまるで犬のリードみたいにわたしの首と足についたままですよ。

「え、えっと、これ…どうしたら…」
「しらん」

えー君がやってるのにしらんはないでしょ!
突きつけられる理不尽に呻きながらも、とりあえず引き剥がそうと手を伸ばした。だがそこは砂でした。掴めません。手がすかすかと行ったりきたりするだけです。こんなに密集してるのにな…へんなの…。

「…」
「え、なぜ」

そんなことをしていたら、なぜか両手までがっしり砂の蛇が…あ、なんかこれすごい。砂の手錠が全身に…。

「しゅうじんみたいなのでいやです!」
「俺に口応えするな」
「りふじん!」

結局、砂の錠は日が暮れるまでわたしの体からはがれませんでした。
日暮れだから帰らないというわたしを中々我愛羅くんは帰してくれないので困りました。『逃げるつもりだ』といって絞め殺そうとしてくる彼を説得するのはまさに至難のわざでした。もうね、ほんとにこの人融通が利かないし、頭固いし、なにより人間不信なんですよ。ひどい3コンボですね、絶対将来モテませんよ!

それでも、明日必ずここに来るからと言えば『来なかったら殺す』という条件で解放してもらえました。え、ひどくね。なんで会って半日もないひとにここまで言われないといけないんだ。こっそり明日来ないっこしよって思ったわたしに気付いたのか、彼は『監視だ』といって砂の目玉をつけました。え、なにこれグロカワイイ。おもわずツンツンと指で突いていると『俺を無視するな』とまた、首をきゅっとやられました。ほんとに理不尽!

「…」
「…」
「…」

いたいです。視線が痛いです。

「おいナズナ、背後霊ついてんぞ。背後霊」
「ナズナ、またなにかやらかしたの?」
「新しいお友達ですか。ナズナに似て良く解らない物体ですね」

「ひどい!」

ぶわりと泣いたわたしを(きゅっと首を絞められた後に信用ないと増やされた)目玉
三つが不思議そうに見つめてくる。そんなわたしを、一座のひとは楽しそうに見てます。

「これで今日も飯がうまいな!」
「きえー!」

シャテキにはキツイ蹴りをお見舞いしました。でもあんま痛くなさそうだったので、夕飯の膳に七味をぶっかけて特製ナズナ定食にしてやりました。座長は『食べ物は残してはいけません』という人なので、シャテキは泣きながら全部平らげていました。様を見ろです。



そうして翌日。朝御飯を食べて、洗濯を手伝ってこのままばっくれようかなーって思っていると、目玉さんが熱い視線を向けてきました。えいっと布をかけようとしても逃げられます。ささっと集団で逃げます。すばしっこいです。勝敗はゆうまでもありませんでした。

なのでしょうがなくブランコの公園にいくも、彼はいませんでした。なんだそれは!と激怒しかけたわたしの体は、ぐわりと生垣から現れた砂の蛇にぱくりと食べられてしまいます。え、っと思った時にはそのまま咥えられてあっちへこっちへ、気づいたら深い岩の谷底に来ていて、そこにはひとりぽつんと座っている我愛羅がいて。

「遅い」

ぎろりと睨まれ、お腹をきゅっとされました。朝御飯が口からこんにちわしかけました。酷い話です。

それから特にすることもないそうなので、砂場とか遊具のあるところに行こうと提案しました。だが彼は『いやだ』という言葉の代わりにきゅっと首を絞めてきました。声をつかいなさい声を。これだから最近の子どもはきらいです。

妥協案として、砂で遊ばせて欲しいというと彼は渋りました。なのでじゃあ砂をくれと言えば、彼はしぶしぶと言う風に近場の岩を砂にかえてくれました。なにこれ凄い。その砂でとりあえず山をつくりました。子どもらしく遊んで見せたのに、彼ときたら渋い顔で。

「なんだそれは」
「やまです」
「お前、山をみたことないだろ」

マジレスされても困るのですが。

「では、山をつくってみせてください」
「…俺に手を汚せというのか」
「じゃあ砂をあやつってつくればよいではないですか!ぶわっと!」
「…これはそんなふうに使えない」

その割にはやけに起用にわたしの首しめてくるじゃないですか。
ぷいっとそっぽむいた我愛羅くん。どうやらヤル気はないようです。ふむ…ここはわたしの出番ですね。

「やれないやらないではひとはせえちゅうできません!」
「せ『い』ちょう」
「…せいちょうできないのです!なのでとっくんしましょう!」
「俺よりお前のほうが必要だろ、言葉の特訓」
「ひつれいですよ!」

また首をきゅっとやられました。…やっぱり使えないとか嘘だ!

それから、我愛羅はしぶしぶ砂を繰る特訓を始めました。
もとより大雑把な動きは可能なようで、その技術はみるみるうちに開花しました。あっという間に、精巧な里の模型まで作れるようになった我愛羅くんにどうやってやったのだと聞けば、真面目な顔で『お前の首を絞めるような感じだ』と言われたのでわたしはそれ以上聞かないことにしました。こわいものには蓋をしようねー。

「え、我愛羅くんのそれ砂がはいってるのですか…!」
「ああ」
「わたしは七味がはいっているものとばかり…」
「…」

我愛羅くんの、あの残念なものをみる目は忘れられません。ひどいものでした。あれ、女の子に向ける視線じゃないですよ。

「お前さ、あの七味飯はないと思う。真っ赤で、味を感じないだろ」

え、なんで知ってるの。
きいても、我愛羅くんはつんとそっぽむいてこたえてくれませんでした。同じ様に目玉さんもそっぽ向いていたので、多分犯人はあいつですね。ちくしょう。

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