Naruto | ナノ

About all of you I know.


「ナッルトォー! おかえりなさいっ良妻賢母のナズナちゃんが愛情たっぷりの肉じゃがをつくりにやってきたよ! うっかりころっと結婚を前提にお付き合いしてくださいって言っちゃうように愛情の他にあれやこれや入れて美味しくしあげるからね!」
「良くわかんねぇけどナズナの肉じゃがは美味しいから好きだったばよ! オレも手伝うぜ!」
「はわわわ 当たり前のようにお料理手伝ってくれるナルトはスパダリ! 好きっずっと前から好きだったけど昨日よりもっと好き! 結婚して!」
「あははは ナズナはそればっかりだってばよ!」

無邪気に笑うナルトが眩しくて、わたしは耐え切れずにぎゅううううううとナルトに抱きついた。太陽の匂いがするオレンジ色のツナギとヒマワリ色の髪、つるつるのほっぺにほっぺを合わせていると「くすぐったいってばよ!」と言われた。それもかわいい!

気づけば、生まれ変わっていた。そしてナルトに出会った。そして一目惚れした。ふわふわの金の髪に水色の瞳、なんてかわいらしいんだろう!なんて愛らしんだろう!気づけばぎゅうぎゅう抱きついて、舌足らずな言葉で「けっこんしてぇ!」と叫んだわたしは、可笑しな子だったに違いない。その証拠に、父と母は顔を真っ青にしてひっぺがしに来た。

わたしのおばあちゃんは、九尾事件で死んだ。
おばあちゃんは誇り高い木の葉隠れの里のくの一で、最後は逃げ遅れた里人を助けて死んでしまった。
わたしはそんな祖母を誇りに思っている。だからそれを腹に宿すことで、里を救ってくれたナルトを怨む道理はない。ナルトがいなかったら、わたしは忍の父ですら失っていたかもしれない。そう無邪気に笑って言えば、両親は複雑そうな顔をしながらも口を閉じた。

それからというもの、わたしはナルトの後ろを引っ付いて回った。最初は一緒になってやっかみをかけられたりしたが、それも自然となくなった。邪魔するものがなくなればこっちのものだ、わたしはあらゆる方法でナルトに迫った。だが『記憶』にあるとおり、無邪気で純粋なナルトはわたしの好意を冗談として本気にしてくれない。

「ナルト、あのねナルト。何度も言ってるけど、わたしの好きは、ナルトがサクラちゃんを好きって言ってるのと同じなんだよ?」
「ふーん、あんまそういう感じしないってばよ」
「 な ぜ 」

わたしの『記憶』は、彼の結末をしらない。だから、ナルトの運命の相手がだれかは解らないのだ。ナルトは主人公だから、必ずヒロインがいる。物語の最後は、ハッピーエンドと決まっている彼の…定められた運命の相手。それがわからないわたしは、ひと時もうかうかとしていられないのだ。サクラちゃん(未だお目にかかったことがない)には悪いが、ナルトに!目を付けたのは!わたしがさき!!!

「ご飯ふっくらできたよ。あとはお味噌汁温めて、肉じゃがをもうちょーっと煮込むだけで夕飯できます!」
「おう! 何時もサンキュな、ナズナ」
「えへへ〜 わたしはナルトの未来のお嫁さんだもん。このくらいは当たり前ぇ〜」
「ナズナは昔っからそればっかりだってばよ」
「だって大好きなんだもん」

へらへらと笑ってナルトに近づく。ぽすんと抱きついてすりよれば、ナルトがぽんぽんと頭を撫でてくれた。それが嬉しくて、わたしはまた情けなく顔が蕩けてしまう。

「あ! なあなあナズナ、大事なこと忘れてた」
「ん? なに、わたしとナルトの入籍の日が決まったの?」
「違うってばよ! へっへーん、聞いて驚くなよ なんとな… 俺は昨日、アカデミーの卒業試験に無事合格したんだってばよ!」




がしゃーーーーーん


なにか大事なものが割れる音がした。
拳を突き上げて報告して来たナルトに、頭の中が真っ白になる。あ、現実を突きつけられるってこういうことなんだ。ぐるぐるぐるぐる世界が回る。ああ、ああ、_____________どうしよう。




(…眠れない、)

あれから、どうやって帰って来たのかおぼろげだ。
何時もと同じなら、ナルトと夕飯を食べて家に帰って来たはずだが…うん、記憶がない。一応着替えて布団に入っているから、お風呂には入ったんだと思う。妙に視界がクリアだった、頭が真っ白なのに意識がおそろしいほど敏感になっている。

じっとしてもいられなくて、ぼんやりと家を抜け出した。
ふらふらと歩いているが、一応目的の場所はある。今までもこういうことは時々あって、その度にわたしは…火影岩が良く見える崖の上に向かうのだ。夜は静かだった。綺麗な星の洪水の下、冷たい風に吐息を漏らす。世界はひとりきりで、少しだけ心が穏やかになった。

「おい」
「!」

「_____夜更けにひとりで出歩くなと、何度言わせるつもりだ」

ぱっと振り返った先には、夜に溶けるようにしてひとりの忍が佇んでいた。
イヌのお面に闇色の装束を纏った人は、その肩に不思議な模様の刺青を刻んでいる。…それは、暗部と呼ばれる忍の中でも特に暗殺戦術に特化した組織のメンバーの証だと、彼から教えて貰ったのはもう随分と前の事だ。

「あなたも大概お暇ですね、またストーカーですか。いい加減訴えますよ、わたしには将来を誓い合ったかわいいかわいい旦那様がいるんです!」
「十三のガキがなにを」
「歳は関係ないです! まったくもう、お仕事にもどったらどうですかイヌこっろ!」
「イヌいうなクソガキ。 アヤメだっつっただろ」

不服そうにしながらも、男はその場から離れる気配を見せない。
むうと憎らしげに睨むもどこに吹く風で、わたしはわざとらしく溜息をついた。

____彼の名前は、アヤメ。もちろん暗部としての呼び名だ、本名も正体も一切不明。初めて見えたはナルトと出会って直ぐのころ。彼は転びそうになったわたしを助けてくれて、ただ「気を付けろ」とだけ言って消えた。それを皮切りに、ちょいちょいこうしてわたしの前に姿を現す変な忍。おそらくロリコンである。___というのは冗談で、わたしが思うに。彼はきっとナルトを監視する任務を帯びた暗部なのだろう。かなしきかな、あんなかわいくて無害なナルトだが、一応人柱力なのである。

「はあ、かわいそうなナルト。いますぐにでも一緒のベッドに入ってわたしの愛で慰めてあげたい」
「お前、自分がわりと本気で気持ち悪いことを言っていること自覚したほうがいいぞ」
「うるさいイヌっころ。 ロリコンイヌっころは黙っててください」
「誰がロリコンだ、誰が」
「ふーん しらないです」

さっきのお返しとばかりぷいと余所をむくと、珍しく彼から話しかけた。

「…なにか、あったのか」
「? なんですか、藪から棒に」
「今日も、あのガキの家に性懲りもなくメシ作りにいったろ。それで、話しするなり突然黙りこくって」

どうにも歯切れが悪い。何時も飄々としてつかみどころがないアヤメにしては珍しい様子だった。常ならば「何を勝手に盗み聞きしてるんですかこの変態!ストーカー!」と罵ってやるところだが、わたしは大人しく言葉をまった。

「飯も食わずに帰っただろ、何時も…あのガキが嫌がっても、梃子でも一緒に食ってくのに」
「さすがストーカー、良くご存じで」
「茶化すな。なにがあった」
「なにもないです。どうしてそうつっかかるのですか」
「当然だ、何時ものお前らしくない。なにかあったのかと考えるのは当然だろ」
「別にそう言う日もあります」
「ここ何十年の自分の素行を振り返ってから言え、このバカ」
「なっ バカっていいましたか!? このストーカーイヌっころ!ぶちのめしますよ!」

「なにがあった」

お面越しなのに、まるで見透かす様に見つめられているのが解った。無視できない視線に、わたしはもごもごと口を泳がせる。

「…ナルトに、内緒にしてくれる…?」
「俺があのガキと喋ることはない」
「…アヤメって…歳いくつ?」
「はあ?」
「年、いくつ? もういい大人だよね、彼女いるかな。それとも奥さんいて、実は子持ちとか」
「おい、 おいおい、落ち着け。何の話だ」
「セックスしたことある?」

アヤメが黙った。

「ねえきいてる? セックスしたことあるかって聞いてるんですけど」
「っ何度もいうんじゃねぇ! 女としての恥じらいはねぇのか!」
「ひっ   ど、怒鳴んなくてもいいじゃないですか! 純粋な疑問です、女の子ってハジメテは痛いってきいたから、どうなのかなって思ったんです!」
「俺が知る訳ねぇだろ!」
「そこは相手の女の子の気持ちになって!」
「っ〜〜〜 もう黙ってろ!」

一息で近づいてきたアヤメの掌にぺんっと口を塞がれた。引きはがそうともごもごするも、子どもの力で適うはずもない。アヤメが酷く疲れたように溜息をついた。

「…それと、さっき態度がどう関係するってんだよ」
「むぐっ… もごもご」
「… はあ、」

仕方ないというふうに、アヤメの手が離れる。

「ん、あのね…ナルトって純粋で子どもだから、そういう夜の作法に疎そうでしょう? だからわたしがリードしないといけないじゃないですか?」
「……」
「そうなると最初は痛いならある程度覚悟しないとなあって思ったんです」
「するわけねぇだろ」
「なあーんでぇアヤメが答えるんですか! 誰に答えてるんですか、わたしの話ちゃんときいてますか!?」

なぜかアヤメは機嫌悪そうに「ッチ」と舌打ちをしてそっぽ向いた。ガキはどっちだ。

「少々予定が早まりましたが…まあ、今ので心決まりました。明日、決行します」
「…… 待て。 まてまてまて、」
「ではわたしは体力を温存しなければならないのでもう寝ます。おやすみなさい」
「待て! お前、何をする気だ! おい!」
「あでゅー」
「おい!」

決戦の日は、明日!

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