OTHER JUMP | ナノ

甘やかしついでに尾形百之助に食われる


泥のように重い身体を引きずって、なんとかマイホームに帰ってくることができた。
息も絶え絶えにカバンからカギを取り出す、ガチャンと開いて扉を開けるとバラエティ番組の音が聞こえた。

内カギを閉めてパンプスを脱ぎ捨てる。とろとろと廊下を歩いて戸を開けば、彼もまた帰宅したばかりなのか。スーツ姿の尾形と目が合った。

「…ただいま」
「…ああ」

ぶっきらぼうな言葉、外した腕時計をトレイに置いて髪を撫でつける様子には愛想のアの字もない。それなのに妙にほっとして、呼吸が戻ってくる。漸く息ができた気がした、ピンと張っていた緊張が解ける。気づいたらカバンをほっぽりだして思い切り彼に抱き着いていた。

「わああああああーーーーーん おがたああああああ」
「邪魔だ、どけ」
「わあああああ」

吐き捨てるような言葉すら愛おしいのだから、重症だ。
高いスーツがよれるのも気にせずに抱き着く。厚みのある身体に精一杯腕を回して、逃げないように片足を絡め捕れば、後頭部を叩かれた。気にせずにそのままぐいぐいと身体を押し付ければ、やがて呆れた様なため息とともにズリズリとわたしをひっつけて歩き出す。流石営業の鬼、わたしみたいなコアラが引っ付いた程度で体幹は揺るがない。

そのままソファに腰掛けたので太腿に乗り上げてぎゅうううと頭を抱きしめる。ヤメロと背筋がざわつくような低い怒声が聞こえたが気にしない。わたしの抱き着く隙間から手を押し込んでネクタイを解けば、彼の愛用しているグッチの香水が薫った。

彼の匂いを取り込みたくて首筋に鼻を寄せれるも拒否される。しかたなく頬の古傷にキスを落として、そのまま頬や目尻を唇で辿った。薄れたリップが残す軌跡、それすら愛おしくて彼の背に指を滑らせる。スラックスに包まれた尾形のお尻、ソファの間に指をねじ込んで感触を愉しむように揉みこむ。おいという制止を促す言葉もどこか甘い、ぴくりと跳ねる彼が愛おしくて薄い彼の唇に噛みついた。

「ン …」
「ハッ この変態が、」

突き放すような言葉とは裏腹に、ねっとりと絡んでくれる厚い舌が気持ちい。
舌の先をこすりつけて、絡ませて。次第に夢中になって、もっと欲しくて、尾形をソファに押し付けようと前のめりになる身体。それを尾形が音もなく笑う、こっちに来いと。わたしをどこかに引きずり落とそうとする暗い色の瞳は、質の悪いアルコールのように思考を麻痺させる。武骨な手がタイトスカートをずらして、仕返しだと言う様にわたしのお尻に我がもの顔で触れてくる。

その刺激に耐え切れず、唇を放す。夢から醒めるように瞼を開けば、挑発するように尾形が真っ赤な舌で唇を舐めた。

「仕事で堪ったストレスを俺にぶつけるの、悪い癖だぜ」
「だってぇ辛いんだもん、理不尽なんだもん、だれにもいえなんだもんっ」
「俺には言えてるじゃねぇか」

うわーんと子供のように抱き着くわたしとは裏腹に、尾形のお尻を揉む手は熱心だ。子どもみたいに甘えたい欲と、爛れた大人として溶け合いたい欲が交じり合って変になりそう。おちついてわたしの大脳辺縁、パニックになりそうです。

「どうせまた好い顔振りまいたツケが回ってきたんだろ」
「そんな言い方しないでよ」
「ハハァ 口だけは立派だな、このクソビッチが」
「く・ち・が・わ・る・い」

八方美人は社会人になって染みついてしまった悪い癖。解っているのに止められなくて、こうして堪ったストレスで尾形に当たる。悪循環だった、誰も得しないシステムだ。ぐすんと彼の首筋に顔を埋めて泣いていると、ぱちんとブラジャーのホックが外された。

「まって、お風呂入ってから」
「誘ってきたのはお前だろ、」
「ごめんて ごめんて」
「一人だけ好い思いして終わろうなんて虫が良すぎると思わんか」

逃げようとするわたしを押さえつける腕の強さとは裏腹に、シフォンブラウスをめくり上げる手は酷く丁寧だ。そうしてむき出しになった胸に尾形の顔が埋まる。そっと胸の縁を撫でて、重みを確かめるように下から掌で包まれる。皮の厚い指で擦られれば、すぐに先が真っ赤に主張し始めた。硬くなった乳首を指で遊びながら、もう片方をぱくりと食べられてしまう。先ほどまで絡んでいた舌が今度は乳首をねっとりと舐め上げて、甘噛みしながら吸い付かれれば腰が震えてしまう。

長年の付き合いか、すっかり彼が与える胸への愛撫に敏感になってしまった。
身体の奥の甘い神経を震わせるような愛撫が、すぐにその後に与えられる深みを求めて暴れだす。じゅんと子宮が濡れはじめる、目の前の男を受け入れるために浅ましい女の部分が準備を始めた。

かりと尾形の指が入り口を指でかじる、既にしっとりとしたそこが知られることが恥ずかしい。逃げようと腰が動くも、がりと乳首を齧られて踏みとどまる。痛い、でもそれくらいが”きもちいい”。指で乳首を遊ばれるように、パンティの上から敏感な愛芽を弄られる。親指でぐりぐりされるのも、摘ままれて痛いくらいに擦られるのも好き。神経を素手でいじくりまわされるような感覚に耐え切れなくて、あっという間に目の前が弾けた。

果てた余韻にしたり、ぐったりと尾形に寄りかかる。漸く胸から口を放した尾形が、そのままわたしをローテーブルに横たえた。遠くで機械的な笑い声が聞こえる。ぼうとしている内に、尾形はスーツベストやネクタイを脱ぎ捨てていた。荒い呼吸を整えるように湿った髪を掻き上げる姿がセクシーだ。耐え切れずに彼の下半身に足を絡ませれば、愉しそうに獣が喉で笑った。

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