大学生 緑間真太郎と中華めん
「ミドくんご飯できたよー」
「…」
真夏のある日。漸く大学の試験も終わり、夏休みに入った私は緑間くんのマンションにお邪魔していた。夏季実習があるので一週間も一緒にいられないが、少しでも一緒にいたいなぁと思った私に緑間くんは「うちにいれば良い」と言ってくれたからその言葉に甘えたのだ。
扇風機の隣で悠々と雑誌を読む緑間くん、時計は13時を少し過ぎた当たりを指している。料理が苦手な彼にお昼ご飯を作った私はガラス張りのテーブル(緑間くんが先輩から貰ったらいしがかなりオシャレ!)に並べていると、何故かさす様な視線を貰う。ん?なんで?
「冷やし中華イヤだった?」
「いや、そうではないが…」
「? 飲み物、麦茶じゃなくてスポーツドリンクの方が良かった?」
「冷やし中華にそれは合わないのだよ、そうではなくて…」
「?? じゃあなに?」
「その恰好はなんだ、緒戸」
最近ようやく名前で呼んでくれるようになった緑間くんが訝しげに眼鏡を押し上げて言う。その非難する様な顔に私はむっと顔を歪めて「あついんだもん」と返した。
「だからと言って何か羽織れ、はしたない」
「ならミドくんが料理してよ」
畳みかける様に言えば緑間くんがぐっと言葉を詰まらせる。ふーん、包丁も真面に扱えない人に真夏の料理中の熱さなんて解らないんだ。
(まあ、下着だけっていう私も悪いけど…)
下はジーンズ、上はスポーツブラだけという恰好はやはりアウトかな?
でもTシャツ着たままだと汗だくになるし…あまり服の代え持って来てないから大事にしたいいしなあ。(それにこの方が涼しい)
「見目ぐるしいかもしれないけど、我慢して?後で家帰って服取って来るから」
すとんと座ってお願いする様に言うと、緑間くんは一拍置いた後嘆息し「必要ないのだよ」と立ち上がった。何かと見ていると隣の自室に行ってしまった。…なんだろう?冷やし中華先に食べても良いのかな?
…少しうずうずして待っていると緑間くんが帰ってきた。ぱっとそちらをみればなにやら手に持って来ている。ん?服?
見守っていると先ほどの位置に座った緑間くんがぐいと私の腕をひぱった。「わっ」「…」驚く私をひょいと抱き上げすっぽりと足の間に収めてしまう。…緑間くんこの体制好きだよね。でも私もこの体制は好きだ、大きな緑間くんの中にすっぽり入って…安心できる気がするから。
「ぐふっ」
「顔を出せ」
「ぷはっ」
そんな夢心地でいたらぼふりと頭に被せられた。なっ服?無理やり腕を通されながら私は慌てて服を見分した。というか、香ってくる柔軟剤の香りにそれは瞭然であったが…
「こ、れ私の服じゃないよ?」
「知ってる」
緑間くんの服だ。慌てて口にするも緑間くんは当然の様に答える…そりゃそうか、だって緑間くんが持って来たんだもんね。そう思って意味がわからないまま服を着せられた。…お、おおっ…!
「なんかどきどきする!」
「ぶほっ」
「どど、どうしようミドくん…!」
「俺にきくな!!」
夏の風物姿
「でもとりあえずご飯食べよう。伸びちゃうから」
「…」
「…ちゅるちゅる…。あ、やばい」
「…」
「み、(服の)ミドくんの匂いが気になりすぎて食べれない」
「もう脱いでしまうのだよ」
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