くろこのばすけ | ナノ

目が覚めたら赤司征十郎が♂から♀になってて襲われてた


※赤司♀名前固定



「緒戸、__緒戸、起きて」
「んっ…」
「まったく、今朝も寝坊する気?」

呆れ半分に聞こえて来た声に緒戸はもぞりと布団の中でもごついた。その様子に早朝の侵入者は解りやすい溜息を着くと、窓のカーテンを開きその手で緒戸の体をゆすった。

「緒戸、」
近くで聞こえた声に緒戸は寝ぼけた頭ではてと小首を傾げた。見えず共侵入者が誰かは解っている、こんな朝早く態々自分を起しに来る人物など心当たりは一人しかいない。___だが、その幼馴染はこんな声が高かっただろうか?

(…声変わりがこないこと気にはしていたけど…)

一度指摘したら笑顔で太ももを抓られたので二度と言わないと誓ったのは割と最近の事だ。まあ幼馴染は童顔なので多少声が高くてもむしろ美味しい感じなのだが、

「緒戸、いい加減にして」
「___わかったってば…」

それに今朝は口調もなんかおかしい。
そんな違和感を覚えながらも緒戸はごそりと起き上がった。ずるりとだらしなく布団を落としながらんっと猫の様に背伸びをすると落ちた布団を手にした幼馴染がくすりと笑った。

「まるで猫みたいね」
(____ん? 「ね」?)

そこでパチンと意識が弾けた。途方もない違和感と気持ち悪さにぐるりと振り返った先で今度こそ緒戸の頭は完全に思考停止した。ガチンッと彫像の様に固まった緒戸を前に___幼馴染は綺麗な顔でくすりと笑った。

「変な顔」
目元を明るめて白い指先を口元に沿えて、上品に“彼女”は笑った。
現在緒戸たちが在籍している帝光中制服がまあ良く似合っていた。清楚な青いワイシャツと白いジャケットは彼女の清楚な会立ちに良く似合っていたし、スカートからすらりと伸びる足を包むハイソックスは素晴らしい絶対領域をちらつかせている。化粧っ気がないがぱっちりした目鼻顔立ちはそんじょそこらのモデルや女優のそれを遥かに凌いでいる。ぷっくりと明るんでいるさくらんぼ色の唇、長い上向き睫毛に覆われた赤と朱金のオッドアイ。極めつけはぴょんと左右に跳ねる様にして結ばれたツインテールだ。え、なにこれ?

「あ、あああ、赤司…? 赤司だよねっ?」
「? 朝から余所余所しいわね___何時も通り、セナって呼んで良いのよ、緒戸」
「!!!?」

そう言って、悩ましい表情を浮かべながらぎしりと膝をベッドに預けて来たセナ(?)と名乗る美少女に緒戸は心臓が口から飛び出すかと思った。反射的に逃げようとするも何故か体は直ぐに壁にぶち当たってしまう、あれ!?私のベッドこんなに小さかったけ!?
ヒーッと動揺するのも束の間、あっという間にベッドに圧し乗り緒戸に小さくてまるで卵みたいな可愛い顔を惜しげもなく近づけてきたセナはくすりと笑う。その息遣いが唇を掠めて思わず息を呑んだ。

「貴方がそう呼び始めたじゃない。小さな私を、セナセナって」
「そ、そう、でしたっけ…?」
「そう。幾ら名前が征里那(セリナ)だからって安直なあだ名だわ___でも、赤司って他人行儀に苗字で呼ばれるよりずっと好きよ」
(はう!!?)

そう言ってぽすんと緒戸の投げ出された足の上に無防備に座り込んで来たセナ改め征里那に文字通り体が飛び上がった。柔らかいマシュマロみたいな白い膝がスウェット越しに優しく緒戸の体に押し付けられる。それに体制の所為もあり、その、あ、か、彼女の女性的な部分も惜しげなく押し付けられている訳でして…!下パンはいてない…!

「せせせせせ、セナさんっセナさん落ち着いてっまず話し合いから」
「緒戸は何時もそれね。それでは埒が明かないからこういうことになっているのが解らないの?」
「(ギャー!顔ちかい顔近い!!)え、っと…」
「今朝は随分と大人しいわね…何時もと違う髪型だから動揺してる? ほら、貴方が好きって言ってたツインテールよ?」
「(いやあああ肩にっ肩に頬すりすりしないでっうわっ良い匂いっじゃなくて!!!)ちょ、と離れて、」
「嫌よ、今日こそは首を縦に振らせるって決めたんだもの」
(おっぱーーーーい!)

拗ねたように頬を張らせてむぎゅっと抱きついて来た二つの柔らかい膨らみに完全に緒戸のキャラは崩壊した。え、ちょっと待って!私なに女の子に欲情してるの!?同姓じゃん!可笑しいよね!
せめて彼女の顔を見るなかれと天上を見上げ歯を食いしばる緒戸に、征里那は暫し沈黙した後くすりと愛らしく笑う。そしてベッドの上できつく結ばれた緒戸の両拳をその手で上から覆った。

「セッ___!!!」
「ん」

それに驚いた緒戸が苦言を漏らす前に、征里那は上体を起してぺろりと剥き出しの緒戸の喉を舐めた。業と扇情的な声を漏らした行為の効果は抜群だったらしく、顔を林檎の様に真っ赤に染めて信じられないという目で自分を見る緒戸に征里那は笑った。
彼女は気づいていないだろうが、その顔は酷く緒戸の加虐心を擽った。先ほどから挑発的な言葉ばかり並べていた彼女だが、その顔は火照り拳に被せられた手は少し震えていた。彼女だって恥ずかしいのだ、だけどそんな気持ちを伏せて精一杯、緒戸を“煽って”いる。

「緒戸……」

解けるような甘い声に囁かれ、緒戸はごくりと生唾を飲み込んだ。その様子に征里那も息を呑む、そのか細い呼吸の音は小さい癖にガンガンと緒戸の頭を揺さぶってくる。


「私を全部、緒戸のものにして」


最高の誘い文句だった。

その瞬間。緒戸の頭の中から全てが吹っ飛んだ。
自分は色紙緒戸(♀)健全な女子中学生で幼馴染の赤司征十郎(♂)はかなり人間離れしている秀才で明らかに釣り合わないのに長年幼馴染してて赤司はそんな緒戸に呆れはするも見捨てずにせっせと世話を焼いてくれているとか___もう良いや。

掌に重なっている征里那の細い手首を掴み取り、がばりと布団の上に押し倒す。ぼすんとかなりの衝撃で押し付けられたにも関わらず征里那はこうなることが解っていたかのように笑って見せた。それにすら酷く欲情させられ、緒戸は苛立ちを覚えた。

「随分と余裕だね、」
「そう見える? 私の幼馴染も案外“男の子”だったんだって感心しただけ」

え、私ってば男なの?そんな衝撃的な事実初めて知りました。
脳裏をよぎった衝撃も、するりと緒戸の拘束から抜けて背に腕を回してきた征里那の所為で吹っ飛んだ。あ、もう私男の子で良いです。

「セナ…」
「んっ」

自分よりも遥かに小柄で線の細い征里那の体を抱きしめ、鼻筋を白魚の様な首筋に擦り付ける。すると淡いコロンの香りが鼻腔を擽り、緒戸はそっと彼女をベッドに押し戻しながら続けた。

「花の匂いがする…珍しいね、」
「…友達に借りたの、嫌かしら」
「あんま好きじゃない」

緒戸の言葉に一瞬征里那の顔がこわばった。嗚呼、自分の言葉にこんなにも完璧な彼女が一喜一憂している。それは酷く征服感が満たされる。

「普段のセナの匂いが好きだ。シャンプーと汗の匂い…マジで興奮する」

緒戸(♀)は知らない筈の情報がするりと零れて来たが、そんなこともう緒戸(♂)にはどうでも良かった。誘われるままにちゅうと薄い首の皮に張り付いて言えば、征里那は少しぶそくった風に「…へんたい」と呟いた。

「どっちがだよ。休日なのに制服なんか着て、」
「…どっかの制服フェチの馬鹿の所為よ」
「クス それ、誰に聞いた?」

ゆるりとワイシャツをスカートから抜き取りながら訊くと、征里那は薄い腹を震えさせながら答える。

「…し、らない」
「ふーん。まあ検討着くけど。 ちなみに、それ間違いじゃないけどちょっと違う」
「?」

完全にスカートからワイシャツを抜き、慣れた手つきでスカートのジッパーを下ろしながら緒戸は…征里那を見てにんまりと笑った。


「俺は制服フェチじゃなくて、セナフェチだよ。セナが着てるんなら何でも興奮する」


その言葉に、征里那は一拍置いたあと顔を真っ赤に染め上げた。燃える様なリコリス色の髪に負けないくらい真っ赤なその顔に緒戸は耐え切れず声を上げて笑った。

「アハハハッ 本当に可愛いな、俺の幼馴染は!」
「っ! や、やっぱり止めるっ離しなさい緒戸!」
「やだね。今日こそ俺の首を縦に振らせるんじゃなかったの?」
「っそれは次回に持ち越すことにするわ、だから今すぐ私の上から退きなさい」
「んー…どうしよっかな」
「緒戸!」

言いながらするりとスカートを脱がそうとする緒戸に征里那の厳しい声が飛ぶ。征里那の手が脱がされまいとスカートを掴み抵抗してきた。こんな状況で男が引くと思ったら大間違いだ、むしろそれは煽っているというんだ。

「命令よ、私の上から退きなさい」
「断る」
「私の命令は絶対でしょ! 緒戸!いう事の利かない犬は嫌い!」

「ヘー…俺のこと嫌いなんだ?」

ちゅっとワイシャツ越しに腹にキスすると、びくりと征里那が震えた。ふるふる小鹿の様に振るえる様は、さっきの彼女とは天と地の差だ。その様子にくすりと笑って緒戸はスカートを掴む征里那の手を優しく解いた。

「セナ、征里那。好きだよ、君が好きだ」
「っ、か、懐柔しようたって無駄よ、」
「まさか!征里那様にそんな恐れ多いことしないよ。ただ…ちょっと哀れな犬に御身に触れることを許して欲しいだけだ」
「何その台詞…芝居がかって気持ち悪いわ」
「そう?俺はどんな征里那でもイけるけど」
「最低」

下種を見る目で容赦なく射抜いて来る征里那に、口が滑り過ぎたと緒戸はちょっと反省した。ここでへそを曲げられると困るので、緒戸は宥める様な口調で優しく続けた。

「征里那が好き。何時もみたいに髪を降ろしてる征里那も、」
そっとツインテールを解いてやる。

「香水嫌いで石鹸の匂いかしない征里那も、バスケでいっぱい汗かいた征里那も」
溢れた髪をそっと手で梳いてやる。

「……征里那が男でも、俺はきっと征里那に恋をした」
流れる様な髪にちゅっとキスをする。

「……胡散臭いわ」
「本当だよ。事実、しっかり恋に落ちたから」
「なんの事実よ」
「んー…夢を見たんだ。征里那が男で、俺は女だった。でもやっぱり征里那はせっせと駄目ダメな俺の世話を焼いてくれてたよ。毎日、必要ないくらいにね」
「…幸せな男ね」
「それはどうも」

むくれている幼馴染にもう一度キスを送って、緒戸は笑った。

「ところで…俺もそろそろ限界なんだけど、お姫様?」
「…」
「セーナあ〜」

征里那の顔にもうひと押しと確信し、緒戸は業とらしく甘えた声を出した。するりと頬に擦り寄り、露わになっている鎖骨にキスをする。何時もは確りと閉じられている襟元も今日ばかりは惜しげもなく開かれているので全く目の毒だ。

「…たら、」
「ん? なに?」

零れる様な囁きにもう一度と促す。征里那は少し迷う様に口を開閉した後、見下ろして来る緒戸にそっぽむいて答えた。


「愛してる、って…言ってくれたら…考えるわ」


呟かれた可愛すぎる“命令”に緒戸は笑って言った。



「ほんと、セナは普段女王様なのに攻められるととたんに駄目だよね」「う、煩い!馬鹿!鋏でズタズタしてやる!!」「ついでに素直じゃないよね。すぐそうやって可愛くない事言う」「うぇっあ、ひゃっあっぁんぐ」「うそ、チョーゼツ可愛い。もう俺のコスモがビックバン起こす勢いです」「ひぅんっこ、このっへんたい!」「セナ限定だけどね」「ぁん!」「かわいー」

back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -