Reborn! | ナノ


草壁さんに「これを委員長に渡して欲しい」と書類を渡された。意味が解らない自分で渡せよと思って用事があると返そうとしたらもうそこに草壁さんは居らず__くそ、最近アイツ私の行動パターン読んでやがる…!きりきりとストレスで痛むお腹を摩りながら応接室に続いている廊下を曲がると何故か皆さん勢揃いしていた。「あ」これはめんどくさそうだから後から行こうと思うも、最初の「あ」の所為で一斉に皆こっち見た。…眼鏡ないけど多分そう、「__浅上」あ、こりゃ完全に見つかってるわ。

「すみません、お邪魔して…」

廊下の影から覗く様にそう言うと皆が一斉に固唾を飲む音が聞こえた気がした。なんだろう、ちょっと空気がぎすぎすしてる、いやそわそわ?

「草壁さんから書類を渡して欲しいと言われたんですけど…いま大丈夫ですか?お忙しい様でしたら草壁さんに」
「何それ」

気を使ったつもりなのだが雲雀さんがむっとした声音でそう返してきた。う、ちょっと怒らせたかもしれない。そう思って首を窄めると「必要ないよ、早く頂戴」と言われた。

「えっ雲雀さんッ!?」
「雲雀てめぇッ」
「ちょっ雲雀くんっ」

「?」

「うるさい黙れ。浅上、早くしてそんな遠くからどうやって書類を渡すつもり」

もたつき始めた後ろの人たちも気になったがそう言われては行くしかない。保身第一の精神で私は「すみません」と前置きをして雲雀さんの所に早足で向かった。段々近づくにつれて明瞭になる光景に私は思わず眉を顰める。なんでみんな頭押さえてんだ?六道までいるし

「……」
「どうしたの」
「いえ、なんか…楽しそうですね」

沢田君が(どこがっ!?)って顔をして山本君が「ははー」と苦笑いして獄寺君が苦虫を噛み潰す様な顔をして六道に至ってはこちらに目を合わせようとしない。なんだ、なんなんだこの状況は。そう思いながら「これが預かった書類です」と雲雀さんに手渡す途中変なものが再び目に入った。なんか黒い影が視える、あ、今度は右、左…んん?

「そう…」
(な、なんだこれ…)

受け取って吟味する雲雀さん、その後ろの下の方をびゅんびゅんと揺れる黒い影。雲雀さんの右から左へと交差しているのは…紐?雲雀さん学ランを改造したのかな…。そんな汐と雲雀を後ろの三人が息を殺して経過を見守る。嗚呼、どうかどうか気づかずに去って行って…!

「……なるほどね。確かに受け取ったよ、草壁に報告はしなくて良い」
「あ、ぁはい。わかりました」

よし仕事も終わったし帰るか。そんな汐の雰囲気を感じ取り綱吉がほうと心底安どのため息を着く。あーよかった、何事もなくすみそ「浅上、」

「?」
「君…何か持ってる?」

「え」

突然眉根を寄せた雲雀に言われ汐は訳が解らず首を窄めた。え、持ってる?なにを?

「持ってるって…」

困った様に眉根を下げる汐に雲雀は口元に指先を当てる。そして見聞する様に汐を見た後ついと顔を寄せた。「なああ!?」「なっひばっ!?」「えっ」

「!!!!?」

近づいて来た流麗な顔立ちに一歩下がろうとした足が急停止する。近い、近い!近すぎて動けない!流石喧嘩無敗の雲雀様だぜ!

「あ、あの、なっなに」

言葉を詰まらせる汐に雲雀は更に顔を寄せてすんと匂いを嗅いだ。な、なぜー!?
「嗚呼、」そして理解した様に呟くとすいと手を伸ばして躊躇うことなく汐の胸ポケットに指を突っ込んだ。驚く間も無くそれは引き抜かれ…「これか」隠し持っていた一粒のチョコレートを暴かれた。

あ、やば。おやつで食べ損ねたチョコレートだ。

熱帯雨林から一気に氷河期。気分はそんな感じだ、やばいバレた。これはお、おこられっおこられるのでは…!そう思って顔を蒼白させる汐に対して雲雀は指先で遊んでいたチョコレートを暫く見た後再び汐へと視線を滑らせる。鋭い視線にひっと悲鳴が漏れそうになる。雲雀はぎゅっと寄せた眉を解くことなく「…違うな」と言う。え、な、何がですか!

「君、他にも持ってるでしょ」
「も、もももってませんっ」
「嘘つくと碌な事にならないよ」
「そっそんな事…」

言われても確かに汐が今持っているお菓子はそれだけだ。不要物という観点から見ても汐が所持しているものはチョコレート一粒だった。他は全部鞄の中だ。段々を込み上げてくる涙を抑えて首を窄める汐に、雲雀はじりじりと距離を縮める。ち、ちかいちかいちかいちかい!!

「嗚呼やっぱり嘘だ」

そんな言葉と共にぽすりと何かが首筋に埋まった。え?とその場にいた全ての人間が現状を疑う、一瞬にして凍りつく空気の中、たた雲雀恭弥だけがすんと鼻を鳴らして漸く満たされたように笑った。

「甘い匂いがする」

くすりと笑う吐息が耳元に掛かり「ひぃっ」と悲鳴が漏れてしまった。逃げようと反射的に体が動くも素早く雲雀の手にがっちりと拘束されてしまう。逃げるな、と込められた意志が力になってぎゅううと汐の体を繋げ止めた。

「これ、君からだよ」

肩に顎を乗せてそう言う雲雀に汐の頭は完全にぱーんした。

「なっ何してんですか雲雀恭弥!!!離れなさい!!こンの歩く公設猥褻物!!」
「ぎゃぁああああああああぁぁ!!!」
「ひっ雲雀手前ェ何してやがる!!!死ね!マジ死ね!」
「はは、俺たちお邪魔?」
「うるさい六道骸、早く消えて。僕の視界から消えて、咬み殺したくなる」
「ええ消えますとも、消えましょう。まずは浅上から離れなさい!」
「ヤだ」
「っ!!」
「おまっ」
「なっ」
「良い匂いがするんだ、離れたくない」

「ぎゃあああぁぁああああああ!」
「少し黙れダメツナ」

リボーン先生、なんか雲雀さんの頭にもふってもふもふの黒い獣ッ耳、あれこれ猫じゃん。





「これは擬態弾っつてな、撃たれた相手はランダムに動物に擬態を余儀なくされるっつー弾だ。ジャンニーニの新作でな、実験がてらにダメツナに撃ったらこいつ等に被弾した」
「ホントお前いい加減にしろよぉおおお!どうすんだよこれ!!」
「俺が知るか。つーか獄寺と山本はともかく武器も構えずに俺の前にしゃしゃり出たヒバリと骸は自業自得だろ。ヒットマン相手に油断は命取りだぞ」
「完全に責任放棄したー!」

「なあ坊主」

安心して下さい十代目っスッゴイ耳似合ってますっ流石ですっえ、あ、うん…ありがとう…と何時も通り斜め上を行く獄寺に綱吉が引き顔で答えている手前、山本がローテーブルに立つリボーンに言う。不思議そうな顔で自分の耳に着いた獣耳を弄る山本に「なんだ?」とリボーンが
返す。

「これってやっぱ個人差ってあるのか?」
「あるぞ。一番解りやすいのは擬態の種類だろうな」
「あー犬とか猫とか!」
「そうだ、山本は犬だな」

ピンと立った耳を見てリボーンが言えば山本がにかっと笑って「わんっ!ってなのなー」と言う。

「獄寺はチーターで、ツナは…多分犬だ」
「多分ッ!?」
「骸は猫っぽかったな、ヒバリは黒豹だぞ」

ぴょんとテーブルから降りて「それに擬態度合いも個人差があるな」とリボーンが続ける。

「こっからは俺の推測だが、撃たれた奴がより動物に近い程精神まで擬態化するんだ。ヒバリは本能で生きてるからそう言う意味では一番適合率が高かったな」

その言葉に3人は先ほどの光景を思い起こして嗚呼と納得した。そうだろう、じゃなきゃあんなことにはならんわな。

「そーいう訳だ。解ったか、汐」

くるりとリボーンは部屋の隅で先ほどからぶつぶつと呟いている汐を見た。反応がない汐に「返事をしねぇとお前にも同じ弾ぶっこむぞ」と危険な事を言い出すリボーンに「リボーンおまっ絶対やめろよ!」と綱吉が慌てた様に声を荒げた。

そんな会話を余所に汐は眼前の壁を見ながら思う、解る訳がない。一体全体どうしたら銃弾打ち込んで耳が生えるんだ、どんな科学力だよもうノーベル賞受賞しちまえよ。てかその前に銃で撃たれたら死ぬだろぉうよおおおお!!!駄目だ、もう駄目だ。やっぱり駄目だ、この人たちは私の理解の範疇を余裕で飛び越えた上に核爆弾を投下していく奴らだ。今までは漫画の設定とかそういうので誤魔化しながら生きて来たけどもう駄目だ、止めよう。関わるの止めよう。

「帰る」

すくりと立ち上がって言う汐に綱吉はえっと言う顔をする。だが制止するよりも先に汐はたったと真っ直ぐに部屋の出口へと向かう「ほ、ほんとっごめんね浅上!」「おう帰れかえれ、この事口外したら果たすからな」「じゃあまた明日なのなー」まったく呑気な限りである、頼まれてもこんな血迷い事口にしないし明日からは何時も通りクラスメイトCである。そう思って汐は扉を開けようと手を伸ばしたが、それよりも先にがらりと扉が開いた。

「見つけた」

にやりと獲物を見つけた肉食獣よろしくな笑顔の雲雀に汐がひくりと口元を痙攣させる。奴さんの登場に3人も呆然としている中、リボーンだけが「おう帰ったかヒバリ」と軽く言った。

「骸はどうした。咬み殺したのか?」
(なに縁起でもないこと言ってんだコイツ!!)
「いや…飽きたから放置してきた」
(フリーダム過ぎる…!!)

骸も骸だがやはりヒバリさんはヒバリさんだった。そう思っている綱吉の隣で獄寺が「チッ使えねぇ奴ですね10代目」と忌々しそうに言った。彼は一体何を期待していたんだろう。綱吉がどうして俺の回りってこんな物騒な人しかいないのかブツブツと考え始めると突然「ぎゃあいやあ!」と悲鳴が聞こえて慌てて視線を向けて「ぎゃああああ!!」と悲鳴を上げる。

「ヒバリさん何してんのー!」
「ツナ、お前もう少しこーいうのに免疫着けとかねぇとボスとして恥ずかしいぞ」

真っ赤になってばちんっと慌てて掌で視界を覆う綱吉にリボーンの冷たい言葉が入った。だがそれは獄寺や山本にも言えることだな、と真っ赤な顔をする獄寺と苦笑する山本に思う。まあ取り敢えずはこっちが先かとリボーンは汐を押し倒している雲雀に言った。にしてもぶんぶん尻尾振ってんな。

「ヒバリそういう事は家でやれ」
「そこ!?言うとこそこなの!!!??」

ずばーんと言い放った言葉に綱吉が思わず突っ込む。

「…家」
「今回は俺の責任でもあるからな。汐の家族には俺の方から話を着けておいてやる、連れて帰って良いぞ」
「何そのシステム!?」
「何そのシステム!?」

それまで雲雀の下から必死に這い出ようとしていた汐の綱吉の突っ込みが被る。被った!と思う綱吉に対し汐は「どんなキャバクラ!お持ち帰りとかアフターサービスないから!ないから!!帰る!おうちにかえるぅぅうううう!!」と既に泣き声で叫んだ。それに「うっせーお前に拒否権はねぇぞ」とリボーンが追い打ちを掛けた。

普段から女性には優しくのモットーに則り、京子やハルに優しいリボーン。汐とは彼女たちほど関わりがある訳ではないにしても何故こんなに対応に差があるのか。ふと浮かんだその綱吉の疑問が解ける日はまだまだ遠い未来のこと。

「いやいやっいやー!!!」
「ちょっとなんでそんな嫌がるのさ」

とりあえず今はこの惨状をどうにかしなければ。

「り、リボーン」
「なんだ」
「それはちょっと浅上が可哀そうっていうか…哀れというか、」

思わぬ同族の気配に放っておけないと言うか、

「もっと方法ないのかよ」
「ないぞ。擬態弾は試験弾だから効果継続時間もまばらだ、解けるまでどんな変化や副作用があるかも不明だ。だから本人の欲求はなるべく満たしておいてやらないとな」
「?なんで…」
「放っておくとこいつサバンナまで行きかねねぇぞ」

動物の本能に返り過ぎて。
そういうリボーンに綱吉は口を噤んだ。どうしよう否定できない…。

「ちょっとアルコバレーノ!」

突然響いて来た骸の声に皆が一斉に扉を向いて空気が凍った。

!?

「これはいったいどういうことですか!!!?」

耳と尻尾を生やした骸に似た小さな子供の登場に等々綱吉の、引いては汐の理解領域は限界を超えた。

「骸に似た小さな餓鬼じゃね、正真正銘骸が小さくなったんだぞ」

まったくリボーンの読心術さま様である、お蔭で頭の中がもっと混乱した。

「言ったろ、どういう変化や副作用が現れるかわかんねぇぞって。骸は幼児化したか、まあ獄寺よりマシだったと思え」
「はあ?獄寺くんよりましってな、」

にゃー
先ほどまで獄寺が居た場所に何故か猫。

「ご、ごごごごくでらく―――――んっ!!!!」
「おー、可愛いネコなのなー」
しゃー!
「山本っ噛まれてる思いっきりい噛まれてるよ山本!!」
「あはは!元気良いなこいつー」

お前は並中のムツゴロウさんかと言うほどに暴れる獄寺(猫)相手に笑顔で狼狽えない山本に激しい動揺を覚えながら綱吉は本当にもう土下座してでもこの状況をどうにかしてもらうべくリボーンに向き直った。って何時の間にか猫の着ぐるみ着てやがるコイツーーー!

「どうだ、キュートだぞ」
「だぞじゃねぇええ!ホントにリボーンホントリボーン」
「ホットモット食べたい…」
「浅上黙ってて!!」
「僕は君が食べたい」
「ヒバリさんもお願いだから黙ってて下さい!!」



(ちょっネタ投げて終わったぁあああ!この後俺どうすれば良いの!??)(落ち着けダメツナ。取り敢えずお前が黙ってオレに撃たれときゃぁオチは着くぞ)(それもれなく俺死ぬよね!そんな命がけのオチする位ならネタ投げんなよ!)(おうち帰りたい…)

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