「なまえー」
『なあにお父さん?』
「母さんから聞いたけど今日テストが帰ってきたんだってな」
『うぐっ…ま、まあね』
「またダメだったのか?」
俺の娘、切原なまえは今年中学2年生になる。成績は正直言って悪い。俺の血を引いてるって幸村部長や柳先輩とか丸井先輩とか……よく考えれば全員に言われてるや。
『だ、だって今回の英語すっごい難しかったんだよ!』
「…ほんとになまえは俺に似てしまったな」
『お父さんもしかして…怒ってる?』
俺が出来なかった人間なのに自分の娘に怒る訳がない。むしろ、バカな子ほど可愛いとなまえのおかげで学んだ。今だって半泣き状態で"わたしなりにテストがんばったんだよ"って嘆いてくる。あああ、マジでかわいーし!
「なまえががんばったんならそれでいいだろ」
『……怒って、ない?』
「怒ることなんてしてないだろ? なまえ、がんばったな」
『…うわああああん!!おとーさーん!』
たぶん母さんに怒られたんだろーなあ。あ、でもアイツがムチなら俺はアメになってやらないとなっ。
どっちにしろ俺はなまえを怒れる日はこないだろーと思うけど。…やっぱ無邪気に俺を抱きしめる俺の娘は世界一可愛いぜ!
子は親の背中を見て育つ
「次もがんばろーなっ!」
『お父さんの為にがんばるね!』
「(すぎゅーん)」
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