「わりっ、みょうじちょっと良いか?」
『…なんでしょう宍戸先輩?』
彼が平のコートに来るなんて珍しいな、と考えていながら下を見ればバンバンに腫れた脛だった
『ちょっ、一体何を…てかとりあえず赤坂くんお前そこどけ!』
「うおっいってえ!!いきなり足蹴りすんな!」
「……なんかわりぃな赤坂」
いやいや、普通に考えて怪我人の宍戸先輩とベンチでぐでーっとくたびれてた赤坂くんを見ていたら、誰もが宍戸先輩を優先するだろう
『向こうのマネージャーはどうしたんですか?』
「いるけどよ…アイツこーゆー処置してるところ見たことねーんだよな」
『だからといって私ができるとでも…』
「岳人がお前なら絶対できると言ってたからさ」
『何を根拠に…まあ、良いですけど』
それよりもまず選手の怪我の処置が出来ないマネージャーってアリなんだろうか。うん、あの人だからアリなんだろうと自己解決
『とりあえず血も出てたので止血しました。腫れが酷いですけど骨に異常はないですし、今日は氷のうでずっと冷やしていてくださいね』
「ああ、すまねえな」
『これもマネージャーの仕事ですから気にしないでください……と言いたいところなんですが』
「…なんだこのタオルの山」
『宍戸先輩今日は動けないんでタオルを畳んで時間を過ごしてください』
「は?」
『あ、そのベンチから動いちゃダメですよ。動いたらボトル投げ飛ばしますからね』
「な、なんだよそれ!?」
『働かざる者食うべからず』
「意味全くちげえ!!」
なんだかんだ言っていたけれど、しっかりとタオルを畳んでベンチから動かなかった宍戸先輩はほんとに素直な人間なんだなと再認識した日だった
怪我人と平マネ
『宍戸先輩は案外雑っぱなんですね』
「うるせーよ」
『でも全部畳んでくれるところが素敵です』
「うるせー…」
『あ、照れた』
「照れてねー!!」
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