『ジロー、ジローやーい』 ジローがいそうな場所を捜しているが一向に見つからない。そしてあたしも粘って捜すつもりはさらさらないのでもはや諦めモード 「ぐおおー…」 『え』 何処からか謎の声が聞こえる。でも何処かは分からない 『誰かいませんかー』 「ぐう…」 『あ、返事した』 偶然返事が返ってきたように聞こえたが結果オーライ。声がしたのは日当たりが良い少し草が茂っている場所 『…みっけ』 そこには捜していた本人ジローが日光を浴びながら熟睡していた。ジロー、と何度も呼んではみたが反応は全くない 『全然起きないや』 でもジローは1つだけ異常に反応する言葉がある。ジローが寝ていて起きない時は必ずと言っていいほど効果は抜群 『ジロー、丸井くんが来「マジマジ!?何処!何処にいんの!!」おはよーっす』 あんなに熟睡していたのにも関わらず"丸井くん"ワードを使うと何故が敏感に反応を示すジロー。憧れを持つのは良いんだけどね、全然良いんだけど飛び上がって起きるのは止めよう。こっちの心臓に悪いんだよ 「おはよー蜜柑、あれ…丸井くんは?」 『丸井くんなら立海にいるよ』 「あれー?さっき丸井くんが来るって聞こえたんだけどなあ…?」 『気のせいだよ』 「そっかあ」 しょんぼりするジローは子犬よりも可愛い。でもそんな光景は一瞬で消え去り、ジローはあたしが何故此処にいるのか、もしかして此処で寝るつもりなのかと質問してきた。失礼な 『跡部がジローを朝練に参加させろってあたしを召使いにしてきた』 「召使いって面白いC」 『何にも面白くねーよ。って事で行こジロー』 「Aー…」 『Aーじゃない、行かないと跡部がまた長々と話してくるよ』 「俺は跡部に怒られないから大丈夫だC」 『何でだよ』 確かに跡部がジローに怒っている姿はあまり見ない。差別だ 「ねえねえ」 『何?』 「俺朝練がんばるからさ、朝練終わったらお菓子ちょーだい?」 不覚にもきゅんときた 密かに可愛いものが好きなあたしには今のはクリーンヒット。今日持ってきたお菓子を全部あげよっかな 『良いよ』 「やったーうれC!じゃ、俺朝練がんばるC!」 『がんばれー』 「うん!」 ジローは笑顔でラケットを持ってテニスコートに入って行った。どうだ跡部ジローを連れて来たぞ見直したかと視線を送ったが無視された 「ジロー珍しいな、朝練から張り切って」 「蜜柑がね、朝練がんばったらお菓子くれるって約束してくれたんだC!」 「蜜柑も菓子で吊んなよ…」 next [mokuji] [しおりを挟む] |