『うん、逃げよう』



いきなりエスケープ発言で始まったが、そんなの気にするか。後で滝に色々聞かれたら言うの面倒だし、心配かけるのも嫌だしね



『よっ‥こいしょ』



それに跡部達にまでこんな状況を知られたくない



『…あ、別に喋んないしいっか』



後、可愛い女の子みたいに大人しく助けを待つ人間でもないし



『保健室行こっと』



そう一人言ってあたしは保健室へ向かおうとさっき逃げた人達が通った窓をくぐろうとした時だった



「…椎葉!」

『え』

「『……』」



滝の声が聞こえたから横を見る。そしたら滝だけでなく、跡部達もいた(何でいんの?)ちなみにあたしの今の格好は泥だらけの泥棒が室内に入りかけているシーンであり、一言で言えば最悪

あたしルパンじゃないから、普通の女子校生だから



「蜜柑…あn『あたしは転んだだけ、保健室に行ってくるよ』ちょっ、蜜柑!」



意味分かんない。ずっとあたしを避けてたじゃん。なのにいきなり現れてくるわ、名前を呼ばれるわ…ほんっと分かんない。でも…



『なん、か…泣きそう』



口の中は切れて血は流れているし、制服は最早道路工事の人みたいに汚れているし、腹や足も蹴られたけど泣かなかった。なのに、ジローの声で泣きそうになるあたしはもっと意味分かんない

グチャグチャで何とも言えない感情を何と言えば良いのだろうか。悩みながらも保健室に着いた



『先生手当てし「「蜜柑!」」…何でいんの』

「椎葉が自分で保健室に行くって言ったからじゃない?」

『ああ、なるほど』



そういえば言ったなあたし



「蜜柑…」

『なに「すまなかった!」……』

「本当に…すみませんでした」

「蜜柑ほんっとにごめんね…」

「俺たち蜜柑を避けていた…」

「そのせいでこんな目にも合わせてしもうて…」

「蜜柑先輩を…俺たちは傷つけました」

「本当にごめん!!」



次々とみんなは謝ってくれた。でも結局はあたしのせいでこうなったんではないの?







[ 70/72 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -