『はぁ、っ跡部の奴…20周とかありえない…!』



放課後ジャージに急いで着替えてグラウンドを走っている。しかも見張りがいる。跡部はサボると思ったのだろう(サボる気は満々だった)見張りは…樺地



『あと4周!』

「あと……6周…です」

『……』



しっかりしている樺地はちゃんと周回数を数えていた。当然ごまかしたあたしは6周最後まできちんと走った



「お疲れ…様……です」

『タオルさんきゅ、ごめん樺地。練習行って来て良いから』

「ウス」



どしどしとテニスコートに向かった樺地に今度何か奢ろうと思いつつ、ゆっくりとあたしもテニスコートに足を運んだ




ーーー
ーーーーー



『ただいまー』

「蜜柑ーまた走ってきたんだってな!」

「自分懲りへんなあ」
『岳人と忍足もあたしが帰って来ての第一声がそれかい』



ぴょんぴょんとうさぎのように跳んできた向日岳人とクールに伊達眼鏡を直してやってきた忍足侑士。普通ただいまの返事はお帰りだろう。なのにコイツ等は馬鹿にした発言しかしてこなかった



「堪忍堪忍、そないに機嫌悪ならんでも「おっかえりー蜜柑!!」ジロー…」

「あれ、帰って来たのか」

「お帰りなさい蜜柑先輩」



後ろから抱きついて明るくお帰りと言ってくれたのはジロー、帰って来たのかとまるでもっと走ってこいよ的な雰囲気丸出しなのは亮、そしてお帰りなさいと丁寧に言ってくれたのは可愛い後輩、鳳長太郎



「椎葉先輩も学びませんね」

『うっせ』



ちょっと憎たらしい発言するのは日吉若。可愛いところもあるが、憎たらしいところが大半だ



「段々と蜜柑のタイムが縮まってる、やるねー」

『おおっ、よっしゃ』



何故かあたしの20周タイムをいつも計っているのは滝萩之介。しかもノートに記入しているのを知ったときは正直引いた



「フンッ、これも俺様のおかげだ。感謝しろ、なあ樺地」

「ウス」



あたしをいつも20周走らす張本人、跡部景吾。そして跡部にいつもぴったりひっついている樺地崇弘



『何が感謝しろさ!別に走りたくないし、元々運動神経は悪くねーもんね!!』

「はっ!俺様には劣るがな」

『本当ウザいな』

「あーん?誰がウザいだ?」

『テメーだテメー』



そして跡部とあたしは口喧嘩をする。これもまあ日常的なのか2人を止める人間はいない



「蜜柑って女に見えねーよな」

「足は綺麗なんやけどなあ」

「変態か」

「でも蜜柑先輩だけですよ、俺たちをちゃんと見てくれる人は」

「不本意だがな」

「それが蜜柑なんだよ」



そんな会話がされているのは口喧嘩がヒートアップしているあたしは知らない



『ばーかばーか、跡部のばーか!』

「テメーの方が数倍頭わりーだろーが!!」

「なあ、いつになったら終わるん?」





next

[ 3/72 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -