『ふーん…シングルスとダブルスではコートの大きさ違うんだ』



テニス部に勧誘されて早1週間、あたしは放課後になれば即帰宅していたが、今では図書室に残ってテニスの本を読みあかしている



『え、ポーチ…?ポーチって何、犬でも呼んでんの』

「ポーチってのはボレーをしにネットにつくことなんだ」

『へえー…詳しいね』



見ず知らずの人間に教えて貰ったが、誰かは知らない。それ以前に本しか視界にいれていないのが問題なのだろう



「だって俺、テニス部だしね」

『なる程詳しい訳だ』



その人物に目を向ければやはり知らない人だった



「最近熱心に本を読んでいるなあと思っていたらテニスの本だったんだね」



この人はあたしが図書室に通い始めたのを気にしていたらしい。別に自分には関係ないのに



『まあね、人生色々あるもんだからさ』

「テニスに興味あるの?」

『…さあ?でも面倒くさがりなあたしがこんな事するんだからよっぽど興味あるんじゃないかな』

「そっか」

『それにさ…「ちょっとがっくん押さないでよ!」「んなこと言ったって見えねえんだから仕方ねーだろ!」「先輩たち静かにしてください!聞こえちゃいますよ!!」「お前が一番うるさいがな」……』

「あらら」



横から複数の声が聞こえるなと見てみれば、1週間前に勧誘してきた奴らで



「紹介はまだだったね、俺は準レギュラーの滝萩之介。よろしく椎葉さん」

『…タチ悪いって言われるでしょ』



そうかもね、と笑いながら答える滝に呆れるが、改めて周りを見渡せば一般生徒はいなかった



「迎えに来てやった」

『本当、物好きな奴らだね』

「そら自分もやで椎葉さん。こないな所で勉強せえへんくても教えたんのに」

「水くせえな」

『知識もない人間だと思われたくないからね』

「はっ、上等じゃねえか。必要最低限は覚えたんだろうな」

『テメーに言われなくても覚えてますー』

「蜜柑ー!入ってくれる?入ってくれる?」

『跡部が1年分昼食を奢ってくれるならね』

「まだ引きずるんですか?」

『当たり前』

「上等だ、1年でも2年でも奢ってやるよ。これから頼むぞマネージャー?」




ーーー
ーーーーー



「あの時の蜜柑は不良みたいな口調だったC」

「今でも変わんねーだろ」

「にしてもスカートはびびったよな…!」

「そやなあ、蜜柑の足むっちゃ綺麗やったわ」

「侑士マジキメえ」

「ハッ、どうせ今も必死こいて勉強してるだろうな」

「だろうね、行ってみる?」



「蜜柑ー…って寝てるC」

「ほんまや…こうゆう時は大人してかわええのになあ」

「さっきから侑士何言ってんだよ!」

「爆睡だな…」

「仕方ねえ、蜜柑をあそこのソファに寝かせて置くか」

『Zzz……』






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