「椎葉」

『…榊、先生』



なるべく会わないようにしていた我がテニス部顧問榊太郎。会わないようにしていた理由は簡単



「最近君を見かけなくて寂しかったよ」

『はは……うっぜ』

「ん?何か言ったかね」

『ああ、気にしないでください』



否定はしないが内容は言わないでおこう。つか呼び止めたなら早く用件を言ってほしい、この人の香水が苦手だから



『先生用件は?』

「あ、ああ…これを跡部に渡しといて貰えるか?」

『封筒?…分かりました』

「あと良ければ音楽s『失礼しまーす』…椎葉は照れ屋だな」



そんな事を言っていたとは知らずにあたしはダッシュで跡部の教室に向かった






ーーー
ーーーーー





『おーい、封筒持って来てやったぞ』

「あ!椎葉さん!我が部に入ってくれる気になった?」

『ごめん、無理かなあ…』

「良ければ茶道部にも来てくださいな」


『あはは…日があれば』



跡部に用件があって来たのにクラスの女の子がたくさん群がってくる。なのに肝心の跡部が来ないのはどういう事だゴルァ



『あ…跡部のアホー!』



女の子の群れから抜け出し、封筒をブーメランのように投げたが、跡部はパシッと綺麗にキャッチしやがった。くそくそ!顔面衝突しろよ!!



「テメェ誰か言わなかっただろ?」

『言わなくても普通分かるじゃねーか!』

「まあな」

『ほんっとうざいな!』

「誰からだ?」

『…榊』

「なら今度の練習試合の事だろうな」



練習試合?そんな話聞いてない。絶対に聞いてない、筈



『練習試合があるなんて聞いてないんだけど』

「アーン?先週言っただろーが」

『いつ』

「朝練だ…ってお前とジローがサボってたから知らねーか」



ハハハと嘲笑うような目で見てくる跡部に足のスネを蹴飛ばして自分のクラスへ逃げた。良いし別に、ジローという仲間がいるから



「え?知ってるよ」

『…うそー』



クラスに帰ってきて即ジローに聞いたら知ってると予想外な返事が返ってきた。あれ、仲間いなかった







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