「あれ、蜜柑はいねーの?」

「蜜柑は菓子パの片付けが授業までに間に合わなくてよ、担任に罰せられてちまって教室掃除してる」

「悪い事しちゃったC…」

「そら大変なこっちゃな話やなあ」

「蜜柑怒ってそうだね」

「あーん?アイツが片付け出来なかったのが悪い」

「何があったのかな日吉」

「どうせ今朝の菓子の話とかだろ」

「ウス」



バンッ
『へ…ヘルプ!!』

「…え、蜜柑先輩!?」

「ちょっ…今着替えてんだけど!!」



着替中なんて関係ない。只今あたしは逃走中



『此処であたしが部室を出たら命が…!だから早く着替えろ馬鹿!!』

「急に入って来た奴に馬鹿言われたかねえよ!」

『うぶっ…!?』

「それを頭にかぶって待ってろ」



顔に直撃したものは多分跡部のジャージなのだろう。感謝したいがめちゃくちゃ顔が痛いのでお礼は言わない



「もおええで蜜柑」

『んー』

「蜜柑また勧誘されたのか?」

『うん。教室掃除せずに全力疾走で此処に駆け込んだしし』

「良いのかよ」

『だって自分の命の方が大切だし』

「蜜柑先輩って普段は面倒くさがりですが、いざというときは素早いですよね」



笑顔で答える長太郎は全く悪意はないのだろうが、褒めているのか貶しているのか分からない



「未だにお前が氷帝の女子の中で運動神経が一番優れているなんて考えられねえ…」

『そこは認めようよ』

「宍戸の言うこと分かるわ。俺も疑うからなあ」

『疑うな』



本当に失礼な奴らだ。確かにあたし自身もそれを知った時は耳を疑ったけども



「ま、神が頭に関しての取り柄がないお前に運動神経だけを良くしてくれたんだ。感謝しろ」

『テメーに言われたかねえ!』


「日吉、樺地、俺たちも蜜柑先輩の教室に行けば良かったね」

「行かなくて良かったの間違いだろ」

「…ウス」





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